第10話 RFと夏子のバトル5
5
最後尾のライダーが倉庫に逃げ込む。
高野が重い扉を閉ざした。ここに隠れていれば、見つかる心配はない。
外には消防車がきている。サイレンや放水の音に混じって、人声がする。
「なんてざまだ。逃げられるとは」
セッナ。鬼島が高野にストレートをあびせる。
グシュと鬼島の拳が高野の顔を打つ。
グギャ。
高野はまさかなぐられるとは思ってもいなかった。
さけられなかった。パンチはもろに高野の顔面にヒットした。
血の霧が前面にわいた。
鼻血がドビーと、飛び散った。
暴走族のリーダーだ。
腕もたつ。
短気なのですぐ、仕込み杖をぬく。
その白刃でなんにんかキザンデイル。
狂犬だ。その高野が鬼島には逆らえない。
「ナンスだよ。鬼島さん」
「いんだ。ケント。ドジッタのは、おれの責任だ」
サブのケントが怒気をあらわにして、鬼島につめよる。
「いったいあんたらは、ナニサマのつもりだ。ここはおれたちのアジトだ。おれたち族〈人狼とバンパイァ〉のタマリ場だ。高野さんはおれたちのリーダーだ」
建物全体がゆらいでいる。
倉庫の中の薄暗い空間がゆがむ。
なにかおかしい。高野はめまいがした。
なぐられたからではない。なぐられたのは顔面だ。
脳しんとうをおこしたわけではない。
渇いている。
水を飲んでも。
カナディアンドライでも。
ビールでもこの渇きは癒されない。
喉が渇いている。
ひりひりとまるでアリが喉の粘膜の水気を吸いとりながら……。
這いまわっているようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます