「裸より裸眼を見られる方が恥ずかしい」
第2話 羞恥
放課後、俺は彼女を家に誘った。両親はいないから、二人きりになれる。下心は、ないと言ったら嘘になる。でも、それだけじゃない。だって、夏休みになったら、今みたいに会えなくなるんだし、一緒にいたい、そう思うのは必然だろう。
俺の部屋に彼女がいる、たったそれだけのことで普段見慣れているはずのこの景色が別物に見えた。
椅子は1つしかないから、俺たちはベッドに座って話していた。夏休みもたくさん会いたい、そんな感じの内容だ。
きっかけは何だったのかは分からない。でも、俺たちはキスをした。唇を合わせるだけのではなく、舌を絡め合う、濃厚なキスを。
ゆっくりと唇を離すと、彼女は恥ずかしげに頬を赤らめて、少し俯いて、上目遣いで俺を見ていた。
その表情を見て、今日俺は男になるのか?と思った。
最初はどうしたらいいんだろう?いきなり胸とか触ってもいいのかな?それとも、もう一度キスとかしてみるべき?
あれ?でも、眼鏡って、邪魔にならないかな?そう思って、彼女の眼鏡を外そうと手を伸ばし、触れた瞬間、
「イヤ!」
拒絶された。眼鏡を守るように手で顔を覆い、立ち上がって一歩、後ずさった。
「ごめん」
俺は失敗した。彼女はそんなつもりではなかった。ただ、キスしたかっただけなんだ、そう思った。だから、俺は心から謝った。
「その、違うの……。眼鏡外したとこ、見られるの恥ずかしくて……」
俺は眼鏡をかけたことがないから分からないけど、そういうものなのだろうか?そう言えば、彼女が眼鏡を外したところは今まで見たことがない。でも、それでさっきみたいに拒絶するものだろうか?
「恥ずかしいって、どれくらい?例えば、裸を見られるのとはどっち?」
分からないから、試しに明らかなところから聞いてみた。恥ずかしいと言っても、さすがに裸より、ということはないだろう。
そう思っていた。いや、誰でもそう思うだろう。しかし……
「裸より裸眼を見られる方が恥ずかしい」
ほら、やっぱり。裸より裸眼の方が……え?裸眼の方が恥ずかしい……?いや、だったら、さっきの拒絶も理解はできる。理解はできるが、本当に?なら……
「じゃぁ、脱いで」
言ってしまった。いや、彼女が嫌がるなら、冗談ってことにしてしまえばいい。半分、いや、四割、う~ん、三割くらいは冗談だ。残りは、うん、本当に脱いでくれたら嬉しいな、という願望。ただ、これは願望であり、期待はしていなかった。なのに……
「うん、いいよ」
彼女は顔を真っ赤にしながらも頷いた。
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