第27夜 東野圭吾の秘密は白夜行?

 かっぱくん、久々に本当に眠れないよ。時刻は午前二時半。タイトルとコンセプトにあった時間に話ができるね。

「ボクは眠いですよ。一人でやってください。おやすみなさい」

 薄情者め! 人が、不眠で手持ち無沙汰だというのに。いいよ、一人でやってやる。


 東野圭吾さんは今、日本で最も売れているミステリー作家の一人であろう。だけど僕はそれほど高く評価していない。いつも高レベルの作品を出していると思わないんだよね。それに、文章に幼稚な部分があるし……


 じゃあ、なんで偏愛作家に入れるのかというと、時々、ものすごい、名作を書くからだ。

 僕が東野さんの本で最初に読んだのは『魔球』だった。なかなか面白いと思ったが、立て続けに読もうとは思わなかった。僕にとって東野さんの立ち位置はそんなものだった。


 それを一変させたのが『秘密』だ。内容は言わないよ。でも主人公、平介のラストに味わったやるせなさ。あれを思うと、その当時、結婚していた僕は、自分に重ね合わせて、号泣してしまった。本を読んで泣くなんて初めてだ。その後も経験したことがない。


 セカンドインパクトは『白夜行』だ。分厚い本だ。それを僕は一気に読んだ。普段と違う硬質な文章。人間の感情を極力排除した叙述。ドキドキしながら読んだ。続編と言える『幻夜』もちょっと劣るが、読み応えがあった。


 最後は『容疑者Xの献身』である。この倒叙法を使ったミステリーのトリックの凄まじさに僕は驚いた。いや、驚愕した。


 思い切ったことを言えば、『秘密』以下に登場した作品さえ読めば、東野さんはOKと言っても良いだろう。だって、あといくつか読んだけど、それほどびっくりしなかったんだもん。


 東野信者には殺されかねないけれど、僕の思っていることを信念を持って語りました。


 ああ全然、眠くならないし、かっぱくんは起きない。カクヨムサーフィンでもするか……

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