第26夜 法月綸太郎まで飛んじゃいます!

「やあ、『た行』『な行』だだ飛ばしですか? ぺこりさん」

 うん、候補はいるにはいる。著作を何冊か読んだ作者もいる。でも偏愛していないんだよな。そういう人たちは本編が終わったらまとめて紹介しようかなと、思っているんだ。このコーナーが「わ」まで続けばだけどね。


「法月綸太郎さんって、法水麟太郎みたいな名前ですよね。真似したのかな?」

 いや、違う理由みたいだよ。島田荘司さんが、今の漢字の名前にしたみたい。でも、かっぱくん、法水麟太郎なんてよく知っているね。『黒死館殺人事件』をまさか読んだんじゃないだろうね?

「ええ、『四大奇書』は勉強のため全部読みました。ぺこりさんも当然読んでいますよね?」

 えっ、えーと、読んだような、読まないようなこれから読むかどうか……

「あー、読んでないな。インチキミステリー研究家!」

(逆切れ気味に)ええ、『虚無への供物』しか読んでいませんよ。『匣の中の失落』は買ってはあるんだけど、そのボリュームと竹本健治さんには一回してやられているトラウマからビビって読めないの。『ドグラ・マグラ』は読むと発狂してしまうんでしょう? こんなの恐ろしくて読めない。『黒死館殺人事件』? あんなの字が細かくって、いけすかない探偵が出てくるだけだろ。

「ああ。情けない。このコーナーがウケない理由が分かったような気がします」

 僕、なんだか気分が悪い。かっぱくん、法月綸太郎さんのことよろしく。

 そういうと、僕はベッドに入り、ナイトキャップをかぶり、睡眠薬を四種類飲んで寝てしまった。これより下の文責はかっぱくん。本名F.かっぱにある。僕は知らない。おやすみなさい。


「しょうがない、クマだな。クマったクマった。動物のギャグが出ましたよ〜ということで不肖F.かっぱが法月さんをご紹介いたします。でも、あのクマほどは詳しくないのでご了承ください」


「法月さんは、1988年に『密閉教室』で江戸川乱歩賞の第二次選考を通過し、島田荘司の推薦でデビューしました。有名な話ですが、乱歩賞に応募した時、その原稿は完成していなかったんです。大胆ですね。ついでに、勤め先を辞めています。もう、やけくそだったのかな? 心境まではわかりません」


「作者と同名の法月綸太郎という名探偵が登場するのは第二作の『雪密室』からです。これはオーソドックスな身室ものですが、第三作の『誰彼たそがれ』から、変わった道を歩み始めます。名探偵が悩み、苦しむのです。講談社文庫のシリーズだけで追っても『頼子のために』では犯人が自殺を図るのを止めず『ふたたび赤い悪夢』でも被害者の家族関係に苦しむ。ちなみにぺこりさんは『ふたたび赤い悪夢』が重版未定だったのが少数増刷されたのを見逃さず、ゲットしたのが自慢です。ぺこりさんのポケモンGOは文庫をゲットすることかもしれませんね」


「ここまで読んで、ぺこりさんは法月さんをぱったり読まなくなります。『生首に聞いてみろ』は法月綸太郎シリーズなんですが手を出しません。『このミス』一位なのに。それから『ノックス・マシン』これも『このミス』一位なのに買いません不思議ですね」


 ふあ〜。人が、いやクマが寝ているベッドの横で大声で話すのはやめてくれ。僕が法月さんの本を買わなくなったのは、飽きたからと金銭面だ。だから金と精神に余裕があればまた買う。新作では法月綸太郎はもう、うじうじ悩まないシンキングマシンになったと伝え聞いた。再開が楽しみだ。


「結局いいところは持ってくんですね。しょぼん」

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