第19夜 「け」がないよう!

 さて、今日は誰をご紹介しますかねえ。

「ぺこりさん、大変です」

 どうした。かっぱくん。

「『け』がありません」

「なにぃ、毛がないだと、それは君のお皿だろ。僕はフサフサの……はずだ」

「違いますよ。『け』からはじまるミステリー作家がいないんです」

「そんなはずはないだろう。Wikipediaで調べてみれば……いない。かっぱくん、『このミステリーがすごい!』と『本格ミステリーベスト10』を持ってきて!」

「はい。持ってきました」

 よし、作者インデックスを調べて……いない。仕方ない『J’sミステリーズ KING&QUEEN』と『本格ミステリ・フラッシュバック』を書庫から持ってきて。

「はーい。よいしょ。持ってきました」

 ありがとう。調べでがあるなあ……やっぱりいない。あとは『本格ミステリ・ディケイド300』だ。

「いっぺんに言ってくださいよ。はい。持ってきました」

 よし……やっぱりいない! 「け」から始まるミステリー作家はいないんだ。読者のみなさん、今すぐ、「け」から始まる、ペンネームを考えて、ものすごく面白いミステリーを書いて、出版社に持って行って、すぐに出版してもらって、ベストセラーを連発して、僕の偏愛作家になってください。お願いします。さあ、急いで急いで!

「そんなこと言ってないで、「こ」から始まるミステリー作家をご紹介しましょうよ」

 いや、今日の新刊のミステリーで「け」から始まるミステリー作家が誕生しているかもしれない。かっぱくん、見てきて!

「自分は何してるんですか?」

 暑いから寝てる。

「ボクのお皿が乾いて熱中症になってもいいんですか?」

 助手のなり手なんか、いくらでもいるもんね。ぬらりひょんがこの前、やりたいって言っていたよ。

「ひどい、今日は帰ります!」

 あらら、かっぱくん、怒っちゃったよ。でも、脳みそ小さいから、明日には忘れているだろう。そういうわけで誰も、紹介できずに今日はおしまい。読者の皆さんは怒らないでくださいね。よろしくま。

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