第2章12 「そんな作戦に意味はない」

戦闘に集中して気付かなかったが、周りを魔術師で囲まれていた。

これで終わりかと思われた戦闘はまだ続く。


「いやぁ~まさかここまで苦戦すると思いませんでしたが、良かったです」


ギギはにやりとした。


俺は、焦った。

メルの魔法を解いただけで魔力を全て使ってしまった。

折角の魔力も俺がこんな使い方じゃ駄目だと思った瞬間だった。


「何か作戦を立てようとしても無駄ですよ?貴方にはもう何も残ってないんですから」

「くっ」

「ほら、もうお時間ですよ?」


もう終わりと思った俺は、メルにこう言った。


「メルだけでも逃げろ」

「え?何を言っているんですか?私は逃げませんよ」

「良いから、逃げてくれ」

「嫌です」

「良いから逃げろ!!」


俺は少しキツく言った。こうでもしないとメルは逃げないと思ったからだ。

しかし、ギギは、


「そんな作戦に意味なんてないですよ?」


どうしても逃がしてくれないみたいだ。


「さーてもう終わりにしましょう」


ああ、終わりだ。俺の異世界での物語も。

そう思って目を瞑った。


「そんな囲んだ作戦の方が意味がないんじゃなくて?」


どこからか、声がした。

俺は、目を開けて周りを見るが、姿が分からなかった。

その声がした後に、その声の主は、


「アルヴィス」


そう呪文を唱えた瞬間、炎が円になって周りに居たギギの下僕が倒されていく。


「ぎゃあああああ、誰ですか!!現れて下さい」


ギギは混乱を抑えきれず、発狂してそう言った。


「私なんて現れてもね・・・」


そう言いながら、声の主は姿を見せた。

そこに居たのは、俺の見たことある人だった。


「え?茜さん?」


そう、そこに居たのは「クロネコ」こと茜さんだった。


「やぁ、侑君。我慢出来なくて出てきちゃった☆全く君は魔力の使い方が下手すぎ」

「すみません、何も言えません」

「まぁ、何も教えてないから仕方ないけどね。あっ後、お仲間術式から解いてきたよ」


そう言うと、後ろからココアが出てきた。


「ココア・・・」

「恥ずかしいから見ないで、侑」

「あっごめん」


茜は、ギギに目を向ける。


「貴方は、今は分からないけど、今の魔女は間違えてる」

「何を仰るのですか?貴女は」

「私がこの世界の最初の魔女だからよ」

「何ですと・・・そんな・・・私の負けですね」

「今回は逃がしてあげるわ。だから魔女に伝えて「もうこの様な事を止めなさい」と」

「私を恥さらしにする気ですか?」

「そんなつもりはないけど、そう思ったならごめんなさいね」

「でしたら、本当は逃げたくありませんが、そのお言葉を伝える義務がありますので」

「ええ、お願い」


会話を終えるとギギが俺にこう言った。


「次は逃げませんよ」


不気味な言葉を残して、去っていった。

次はって事はまた来るのかと思うと、俺は少し震えた。


「侑君大丈夫?」


どうなってるんだ?俺


to be continued…

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