第2章11 「メルの真剣」

メルとの戦闘で大分体力が削れてきた。

俺は元々戦い向きじゃないが、これもこの剣の力なのか、何とかメルと互角に戦えている。

多分、普通の剣では瞬殺だ。ヴァルフレアが言ってた「本当の力」の解放時はどうなるんだろうか?と思った。


「うっ」

「侑さん、その程度ですか?」

「メル、お前がしている事間違ってるって気付いてないだろ?」

「ええ、全く」

「お前は、俺を殺すべきじゃないんだ」

「何を言ってるんですか?」


この非常事態に、ココアは何をしているんだ?

さっきから、こんなに大事になっているのに。

俺は心の中でそう思った。不思議でならなかった。


「あー魔法少女に頼ろうとしても無駄ですよ?私の魔法で縛っていますから」


心を読んだのか、それとも俺の行動に察したのか分からないが、ギギは俺にそう言った。


「ギギ、貴様」

「私は、どんな手を使ってでも遂行する者なので」

「俺の仲間をこんなにも」

「あっ、来ますよ?」


ギギがそう言って、振り返るとメルの周りに覇気の様なものが見えた。


「これは…?」

「侑さん、私の真剣を見せましょう」

「真剣?」

「騎士となる上で取得する技です」

「止めろ…メル…止めろ…」

「侑さん、裏切らなければ良い人だったのに」

「止めろぉぉぉぉぉ!!」


俺は必死だった。自分がやられる事よりも、メルが後で自我を取り戻してから後悔しない様にする事で。

俺は、一か八かの賭けに出た。

それは、剣を捨てる事。

剣を持っているから、操られているメルは俺が裏切り者と認識して戦おうとしている。

それを食い止める。

俺は、剣を捨てた。


「メル、来いよ。さぁ」

「え?」


メルの反応が変わった。さっきまであった覇気が消えた。


「何をやってるんですか?メルさん。さっさとやりなさい」

「しかし、マスター、剣を」

「やりなさい」


メルは再び覇気を出した。今度は完全にギギに乗っ取られたみたいだ。


「ギギ、何をした!!」

「完全にこちらの手の中です。貴方に勝ち目等ありません」

「くっ」

「さぁ、さようなら。勇者になり損ねた勇者気取り君」


俺が勇者気取り?笑わせんじゃねぇぞ。

俺は純粋にフィリアを助けたいだけ。それだけなのに。


「笑わせんじゃねぇぞ。ギギ」

「え?何ですか、この魔力は?」

「お前には気付かないよな?この三流魔術師め」

「な、何!?」

「俺はさ、最初の魔女様から魔力を授かっているんだよ。まぁ、一定の条件でしか出ないみたいだけど」

「魔女様から!?そんな、有り得ない!!」

「だから、お前が知ってる魔女様じゃないよ」

「えーい!!メルさん!!そのままやりなさい!!」

「もう遅いよ。なぁ?メル?」


俺はそう言うとメルは、


「あれ?私、何をしてたんですか?」

「心配するな。俺は何も責めないよ。後で話す」

「な、何ですと!!私の魔法を解いたのですか?」

「最初からすれば良かったが、上手く出ないんだよこの魔力。これで終わりだな」


俺がそう言うと、ギギは何故かにやけだす。


「いや、参りました。参りましたよ。でももう遅いです」

「何!?」

「周りをご覧になって下さい」

「え?」


戦闘に集中して気付かなかったが、周りを魔術師で囲まれていた。

これで終わりかと思われた戦闘はまだ続く。


to be continued…

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