第2章6 「旅立ちの前夜」

一通り軽く話をして、ココアが提案した。


「では、これからの事お話しましょう」

「そうだな、他愛もない話ばっかじゃ、何も始まらないもんな」


所謂、ちょっとした作戦会議というやつだ。慣れていないが。


「まず、私達は隣接している「アルム村」に向かいます。そこで情報収集しましょう」

「こんな都市の隣に村なんてあるんだ」

「はい、元々は農業を目的に作られた村です。だから隣に」

「で?そこにどの情報を収集するんだ?」

「アルム村は時々、情報屋が来るという噂を聞きました。もっと遠い街から来るという情報屋です」


情報屋?この街にも居たような気がしたが、俺は気になったので、


「ここには、来ないのか?」

「ここは、情報屋は入れません。都市部に情報屋は必要ないからです」

「必要ない?」

「有らぬ噂をして頂いては困るという事です」

「あーそういう事か」


何か、納得した様な納得しないような・・・

ただ、情報漏洩等の恐れみたいなのは、感じた。


「メルは、何か思いつく事あるか?」


突然、メルに振って悪いと思ったが、最終的な確認をしたかった。


「いえ、私は特に・・・」

「何かあったら言ってな」

「はい!!」


こうして、作戦会議を終えた俺達は旅立ちの前夜を迎える。


「さぁ食べて食べて」


ヴァルフレアは沢山のご馳走を俺達に振舞ってくれた。


「明日から出発する君達に食べさせたかった物ばかりだよ」

「陛下、有難う御座います」


本当に現実では食べられない物ばかりだった。何だか高級店に来てる感覚の。


晩御飯は美味しく頂いたし、そろそろ明日に備えて皆で寝ようと言っていたところで、


「侑君は後で少し来てもらえるかな?」

「あっはい」


何だろ?と疑問には思ったが、1人でヴァルフレアのあの部屋に行った。

もしかして、今度こそ拷問なのかな・・・(笑)


「どうしました?陛下」

「侑君、君に託したい剣がある」


そう取り出した剣は一見普通の剣に見えた。


「これは?」

「これは「エクスカリバー」だ」

「え?」


俺は、「これが?」と思ってしまった。自分のイメージとは違う。いや、違い過ぎる。


「えーと・・・」

「全く見えないかもしれないが、普段はこんな形なのだよ。伝説にあるエクスカリバーは覚醒時の物なのだよ」

「納得いった様ないかない様な」

「まぁ、使ってくれ、どうせ武器買う気だっただろ?」

「うっ・・・仰る通りです」

「これで、魔女を斬ってくれ」

「分かりました。必ずやり遂げます」

「侑君なら、出来ると信じてるよ」

「何度も言わないで下さいよ。照れます」

「侑君、男が好きなのかな?」

「ちーがーいーまーすー」


ヴァルフレアと別れて、自分の部屋に戻った俺は、もう1度剣を見た。


「これが、「エクスカリバー」か」


実感はないが、凄いのを渡されたと、今になって実感してきた。


「そうだ、朝になったら忙しくなるし、フィリアに会いに行こう」


旅立ちの前夜。

それはとても肌寒い日の夜だった。


to be continued…

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