第2章4 「王国騎士」
「よしでは。入って来てくれ」
ヴァルフレアの一言で部屋の扉が開いた。
そこに居たのは、ココアと1人の少年だった。
「ココア・・・」
俺は、ココアに目覚めた時に嫌われる様な事したなと思った。彼女も泣きたいはずだったのに、1人だけ泣き喚いた事に、恥ずかしいのと、申し訳なささがあった。
「侑・・・私も一緒に行きます。私も先走って死んだなんて・・・すみません」
ココアもまた、俺に罪悪感があったみたいだ。でも、そんな事をいつまでも言い合う気はなかった。
だって、これから前に進むんだから。
「侑君とココア君では、ちょっと不安だからね。王国騎士団の彼女を加えよう」
後で、聞いた話だが、王国騎士団とは、国王を守る目的で作られた騎士団であり、バーンクロスの数々の騎士団の内1番上に属する組織というのを聞いた。
「え?彼女?」
俺は、顔立ちが綺麗な少年だと思った。どう見ても俺と同じくらいの背丈で、髪もショートだった為、勘違いしてしまった。
「初めまして、メルと申します。共に旅立てる事を幸せに思います」
メルは、口ではお堅い挨拶だったが、どう見ても顔は真っ赤で震えていた。
「あははメル君、普段の通りで良いんだよ」
とヴァルフレアが軽く言うと、メルが更に顔を真っ赤に、
「陛下が「新兵らしく礼儀がある挨拶でな」って言ったじゃないですか!!」
「あははごめん。つい、可愛くてな」
「陛下、セクハラで訴えますよ」
俺は、新兵の割には仲が良いなと思った。普通、新兵なら王って雲の上の存在だと思うんだけどと思った。
「あー侑君が不思議がってるね。メル君はフィリアの親友で小さい頃からこの城に遊びに来ていたんだ。それで「フィリアの為に、騎士になる!!」って言って頑張っていたんだ」
「だーかーらー、陛下!!!!」
「ごめんごめん(笑)」
俺は、メルは小動物系だと思った。うん、可愛い。
「あ、あの・・・そろそろ本題に」
俺は、我に返り、2人に話を戻す様に提案した。
「ああ、ごめんね侑君。では、本題に入ろう」
「侑君、君に王国騎士に任命したいと思う」
「え?」
俺は、急な事に驚いた。一般市民の俺がいきなりそんなランクアップして良いのかと。
「えーと・・・」
「頭でも打ちました?」
「ちがーう!!そうではないよ・・・(泣)」
「あーもちろん形だけだ。極秘でな。旅に出たら一般市民では色々不便な事もある。そこでこの肩書きを利用してくれ」
「俺なんか・・・」
「君は十分、王国騎士団に入れるくらいの実力がある。自信を持ってくれ」
「ありがとうございます。陛下」
「さて、旅立つ前にゆっくり3人で他愛もない話でもして休んでくれ」
ヴァルフレアは手を振りながら部屋から去っていった。
「さーてこれから何を話そうかな・・・」
俺は、何を話したら良いのか分からなかったのか、つい声に出してしまった。
しかし、それを言った途端にメルが口を開く。
「あの、私の話を聞いてくれませんか?2人は仲が良いみたいなので、私も溶け込めたらと」
メルは、恥ずかしそうに話していたがその目は真剣だった。
「そうだね。メル。君の事俺等に教えて?」
「はい!!」
こうして、新たな仲間と共に物語の第2章が今、始まろうとしていた。
to be continued…
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