第2章 絶望の記憶

第2章1 「フィリアの為に」

俺は、目覚めた。


「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


俺は、この瞬間を待っていた。

ずっと、ずっと。


「フィリア。今、助けてやるからな」


俺は、そう言って「魔銃アルファリベリオン」を手に持った。


「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


そのドラゴンの様な九尾の様な。言葉で表現出来ない姿だ。


「そういえば、1発も撃ってないよな?」


俺は、ココアが込めた魔法弾を使わずに戻ってしまっていたみたいだ。


「そら、無理ゲーだろ」


でも、今は違う。今の俺は魔力があるんだ。


「フィリア!!」


俺は、フィリアに大声で呼んだ。


「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


やっぱりまだ意志はある。そう俺は確信した。


「絶対に元に戻してやる」


「侑、お願いがあるんです」

「私が次に暴走したら・・・私を殺して欲しいのです」


そんな願い絶対叶えるわけねぇだろ?


「私もこんな事お願いするのはおかしいと思っていますが、侑にしか頼めないのです」


どうして、俺?訳分かんないよ。


「侑が悪い人じゃないからです。せめて最後は侑の手で終わらせて欲しいのです」


そんなの絶対しないよ。終り?何だよそれ。


「俺は、俺は、フィリアが大切だ」


ああ、俺はフィリアが大事だ。あの時言った。その言葉の意味は濁したけど。


「こんな私をそこまで想ってくれてありがとうございます」


それを思うのはこれからだろ?


「私も侑が好きです。あーでも男性のタイプとしてはちょっとあれですが」


あの時、ちょっとショックだったよ。それ言われて。


「私はやっぱり侑が良いです」


その言葉の意味、今度聞かせてよ。


「フィリア、俺はフィリアの事が好きだ。大好きだ」


俺は、フィリアには聞こえないかもだけど、そう言った。


「俺はフィリアの為に、この身を捧げるよ」

「まぁ、無駄な捧げ方するつもりはないけどな」


そう言った後、俺は走り出した。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

「届け、1発目だあああああああああああああ」


俺はトリガーを引いた。

ビームの様に出たその魔法弾は、フィリアの体に向って行ったが、


「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


触手で跳ね返されてしまった。


「え?」


俺は、唖然とした。かなり自分も吹っ飛んだのに、全く効いてない様だった。


「嘘…だろ?」


そんな事を考えてる間に触手で吹っ飛ばされた。軽く腕が逝った気がした。


「ああ、これはもう左手使えねぇな」


俺は、銃を右手だけで持った。


「そう簡単にはやらせてくれないのか。魔女の呪いってやつは」


ココアの込めてくれた想いの弾はまだ残ってる。微かだがそう感じた。


「よし、俺の魔力を惜しみなく使いますかね」

「ありがとう、茜さん。貴女に貰った能力早速使いますね」


俺の体はもう限界だった。どうやら左足もやられたらしい。


「どう動こう」


俺は寝た状態で考えた。

でも答えは単純だった。


「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


フィリアの声が聞こえた。


「ここから狙えるな」


よく見れば吹っ飛ばされたが、ここからでも十分に狙える距離だった。

ただ、使って自分がどうなるかは、分からない。


「まぁ、救いたいなら死ぬ気で行けってな」


俺は、再びトリガーを引こうと銃を持ち上げようとした。

しかし、上手く体が動いてくれない。


「クソッ…どうしろっていうんだ」


「心配するな!!必ず無事に戻るから」

「必ずですよ…」


そうだ、ココアの約束も守らなきゃな。

俺は寝た状態だが、痛みに耐えながら、銃を持ち上げ、狙いを定めた。


「フィリア…」

「これが、俺とココアの…」

「想いのたーまーだああああああああああああ」


to be continued…

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