第1章11 「願い事」
俺はフィリアの部屋に来た。
凄く女の子女の子してて、やはりどこの世界の女の子はこうなのかと思った。
おっさんかよ。俺。
「いや~でかいな」
「これでも、1番狭いんですけどね」
「え?嘘!?庶民には分からないわ」
「あの・・・侑」
「ん?」
「話を聞いてもらって良いですか?」
少し落ち着きのないフィリアに疑問を感じたが、
「ああ、良いよ」
そして、落ち着きを取り戻し話し始めた。
「侑、お願いがあるんです」
「うんうん」
「お話をお父様から聞いたと思いますが、私には魔女の血が流れています」
「ああ、確かに聞いた。でもどうして陛下が言った事知ってるんだ?」
「それは昨夜、侑に伝えると言われたので了解しました」
「それでか」
「はい、ですからそれを踏まえた上でお願いしたい事があります」
「うん」
「私が次に暴走したら・・・私を殺して欲しいのです」
「えっ・・・?」
俺は目の前が真っ白になった。何を言われるかとドキドキしたが、今はそのドキドキが違う。
フィリアは普段から前向きで明るかったので真剣に「殺して」と言われたので驚いたのだ。
「でも、俺、そんな事・・・」
「私もこんな事お願いするのはおかしいと思っていますが、侑にしか頼めないのです」
「何で?」
「侑が悪い人じゃないからです。せめて最後は侑の手で終わらせて欲しいのです」
笑顔でそう言ったフィリアに、俺は悔しさが止まらなかった。
「俺には・・・出来ない」
「え?・・・」
「俺は、俺は、フィリアが大切だ」
「いっいや、その告白とかじゃなくて、フィリアは俺の命の恩人だし、それにこの世界の事色々教えてくれたし、本当!!本当!!感謝している」
「はい、ありがとうございます」
「ありがとうと言いたいのは俺だよ」
「だから、無理だ・・・」
「それにそん時にならなきゃ分かんないだろ?」
「まぁ・・・多分、分かりませんが」
「そう・・・ですか・・・無理ですか」
「でも侑」
「ん?」
「こんな私をそこまで想ってくれてありがとうございます」
「いや、その告白ではなく」
俺は完全に真っ赤な顔して言ったので、それは通用しないのは分かっていた。
「私も侑が好きです。あーでも男性のタイプとしてはちょっとあれですが」
フィリアはちょっと意地悪気味に言った。その顔はまさに小悪魔だけど天使。
何言ってんだろ俺。
「悪かったね。こんなダサ男で」
「ダサ男?」
「あっいやこっちの話!!もう緊張して損した」
「ふふふっ」
俺が拗ねているのを見て、フィリアはそっと耳元で、
「私はやっぱり侑が良いです」
「え?」
「何でもないです♪」
こうして夕食に呼ばれた俺達は、部屋を移動する事になったが、ずっとフィリアの言葉が気になっていた。
もしかして・・・気があるのか。
そう浮かれているのもそう長くは無かった。
あの話を聞くまでは。
to be continued…
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