第2話 転生でした!
「母さん行ってきます!」
「ハル、気をつけるのよ!」
俺がトラックに引かれる直前で意識が途絶え、女性に抱きかかえられてから五年。
俺はその後も意識を取り戻し、その度に何やら様子が違う事に気づいた。
まず、俺の身体。
俺は自分の状況を確認するとどうやら自分が小さくなっている事に気づいた。
最初は事故で全身麻痺になって、全身動かないのだと思った。
でも、俺の事を最初に意識を取り戻した時の女性は普通に俺を抱き上げるし、抱き上げた時に見えた俺の身体が小さかったのだ。
それに、看護師だと思った女性は俺が目を覚ます度におっぱいを飲ませるし、その相方男性も俺に微笑みかける。
そして時間がたつにつれ動きやすくなる身体。
俺は頭の知識をフル活用し、一つの結果にたどり着いた。
『俺は記憶を持ったまた異世界に転生した』
のだと。
そして、どうやら俺はハル=ラインハートという名前らしい。
俺の家は小さな村にある普通の家だけど、苗字? があるのは我が家だけだ。
でも、家は普通に農業をしているし特別何かある訳じゃない。
俺の知識をフル活用するに、もしかしたら両親は元貴族か何かで駆け落ちしたのかもしれない。
父さんも母さんも俺にハル=ラインハートという名前だと言う割には、村ではラインハートという名前は決して出さない。
だから、その辺は子供ながらに気を使い、聞かない事にしている。
まぁ、いつか時が来たら話してくれるだろう。
ちなみに俺の容姿は母さん似で、茶髪で青い瞳、そして顔も整っているし、体形も細マッチョって感じだから良かった。
父さんに似ていたら、ちょっとショックだったかもな。
父さんは畑仕事が似合うような、大柄で髭の生えた男らしいと言えば男らしい顔だ。
だから、父さんと母さんはアンバランスに見える。
どこでどう知り合ったんだか……。
親にこんな事言ったら失礼だな。
でも、母さんに似て感謝。
そして、さらに周りの状況を観察していくといろいろ観察するとそれがだんだんと現実味を帯びてきた。
俺がよちよち歩きとかで転けたりして、ケガをした時とかに、俺におっぱいを与えていた女性……いや、母親だな。
母親が俺の膝に手をかざし、
「××××××」
と言葉を発すると温かい光が覆い、傷が治った。
俺は歓喜した。
言葉、光、傷が治る……まさしく治癒魔法だろう。これは俺の憧れた魔法のある異世界に転生したという事だ。
俺もすぐさまマネしようと思ったけど、言葉を発せられずにできなかった。
それでも俺は諦めなかった。
異世界、魔法とくれば無詠唱!
俺は赤ちゃんで、言葉が発せられなくても魔法が放てるはずと思い、無詠唱でケガをした時にイメージで治癒魔法をかけてみた。
すると、見事に魔法は発動した。
けど俺はすぐに意識を失った。
そう、もう一つ肝心な事を忘れていたのだ。
それは魔力量。
魔力はネット小説で読んでいたものでも、最初から多い訳ではない。
小さいうちから、限界まで魔法を使い魔力量を増やすというのが大事だという事だ。
それを思い出し、俺は地道に毎日コツコツとバレないように魔法を使い魔力量を増やしていった。
しかし、転生したのはいいけどさすがに記憶があるまま同じ歳くらいの女の子……いや、女の子ってか母親になるんだけど、仕方がないとは言え、おっぱいを吸うのは刺激が強すぎた。
でも、本能には逆らえないし生きる為には必要な事だ……と自分の中でいい訳をした。
決して捕まるような行為ではないと訴えたい。
それから、時間が経つにすれ、徐々に謎の言葉は自然と俺の脳内変換され、理解できるようになった。
これは転生によるチート能力じゃなくて、人間としての本能的な部分だろうな。
まぁ、そんなこんなでネット小説の知識が活用出来る世界という事もあり、五年間魔法と魔力を増やすようにして過ごしてきた。
それと同時に、この世界の事を少しずつ様子を見てきた。
まずこの世界の通貨だ。
この世界の通貨は世界共通で前世の価値にすると、
白金貨一枚……一億円。
金貨一枚……百万円。
銀貨一枚……一万円。
銅貨一枚……千円。
青銅貨一枚……百円。
と言った感じになっているっぽい。
俺の住んでいる村は小さいから、良くて銀貨くらいまでしか見た事ないけど、村長さんにいろいろ聞くと、「自ら学ぶとは……えらい子じゃ」と言っていろいろ話を聞かせてくれてだいたいの金額が分かった。
あとは冒険者ギルドや魔法学校もあるみたいだし、本当にここは俺の憧れた世界だ。
そんな感じで、俺は村で分かる事をいろいろ聞いたりして勉強し、こっそり魔法の特訓をしながら過ごしている。
もちろん、剣の練習もと思い、木の棒を振ってるけど、魔法と違ってこっちは独学だからうまく出来ているかは分からない。
ネット小説には剣さばきで、どこの筋肉をどう使うとか具体的な事はかいてないのだ。
いや、書いてあったとしても難しいだろうけど。
イメージで発動できる魔法と違って、剣さばきは鍛錬しないと身につかないしな。
「ハル、今日も遊びに行くのか?」
「うん! 村長さんまた帰ったらいろいろ話聞かせてね!」
「ほぉほぉ! 賢い子じゃな。気をつけてな」
「はーい! 村長さんも無理しないようにね!」
俺は畑仕事している村長さんと言葉を交わすと、いつも遊びに行くと言って訓練してる山の広場へと向かう。
山は危険だから、入らないようにって言われているけど、魔法も普通に使えるようになったし問題ないだろう。
それに今のところ危険なものに出会ってないしな。
さて、この世界で人生謳歌する為に頑張りますか!
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