第43話 ~2007年~ 17
話すべきなのか、そうでないのか、考えた結果、僕とまりあさんが別れたことを、帰ってきた光子姉さんに話すことにした。話しておきたかった。五年前には相談にも乗ってもらっていたのだから。
陽子姉さんにも話しておこうかと思っていた。すると、どういう偶然の重なりか、その夜は陽子姉さんがうちにやってきた。一度の説明で二度済むのなら、それはそれで楽だった。
量子姉さんを除いた三人の姉さんと僕。その四人で夕食の席に着いたときだった。僕が、自分の身の上のことをいつ話そうかと考えていたときだった。
「ちょっと、ふたりに聞いてほしいことがあるの」
光子姉さんのほうから切り出された。僕と因子姉さんが、珍しく双子らしく息を合わせて視線を合わせたあとに、揃って向かいの光子姉さんを見つめ、発言を待った。
光子姉さんは言った。
「私と陽子ね、時期はまだ決まってないけど、」
光子姉さんの口調は淡々としていた。陽子姉さんは穏やかに笑っていた。
「どっちも、結婚するわ」
あまりにも感情のこもらない光子姉さんの報告的な発言は、徐々にしか、僕と因子姉さんを驚かせることができなかった。
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