第七話 絆を

相手に理解してもらおう。そんなに簡単じゃないことはわかってはいたが、やっぱり自分の口からきちんとみんなに言うほうが伝わりやすいとあの時にできていればよかったのにな。

クラス内での対立は父母の会で話題になった。

担任の先生が口を開く。

「今回の件は、ちょっかいというよりはいじめに近い形でクラス内での対立がありました。誠に申し訳ありませんでした。」

この素直な対応に口を挟むものはいなかった。家では聖二と母の話し合いが設けられていた。

「聖二、ちょっといいかい?」

黙って母の所に行く。

「今日ね、殴ったお友達のお母さんとお話をしたんだけど、聖二はなんで殴ったの?」

殴った!?俺は友達を殴ったのか?聖二は小さな声で答える。

「覚えてない..」

母はさらに問い詰める。

「覚えてないの?じゃあどうやって殴ったの?」

「わからない、本当に覚えてない」

この時点で聖二は半べそをかいていた。

ほとぼりが覚めぬまま二年生を迎えた。

ちょっかいをかけていた子はあれ以来一切しゃべらなくなった。なんだか気まずく声もかけずらい。

だけど、仲直りもしたい。先に手を出したのは聖二のほうだから。いおけっして話しかける。

「良太君、殴ったりしてごめん。」

良太はうつ向いたままなにも発しなかった。微妙にだが震えているのがわかった。

壊れた仲を修復するのは非常に難しいことを初めて痛感した。それと同時に良太との絆を造ることもできなかった。

なんとか良太と仲直りをするため聖二はある作戦を考える。

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