第六話 涙
聖二に障害があるということをクラスのみんなに打ち明けて理解を得る、ということがどれだけ難しいかをこの時痛感することになるとは思ってもいなかった。
中には理解をしてくれた友達もいたが、その反面、ちょっかいをかけてくる友達もいた。
「聖二!お前支援学級にいくんだろう!障害があるからか?」
その通りだ。でなかったら何しにいくんだ。
これぐらいのちょっかいならまだ可愛いほうだが、これがのちにエスカレートすることになる。
いつものように学校に登校する。途中道端で木の枝を拾う。ここまでは普通だな。問題はここから。
学校に着いて上靴を履こうと思ったら上靴がない。どこかに忘れたかと思ったがどうやら誰かにイタズラされた様子があった。結局上靴は下駄箱の上に置かれてた。
上靴を履き教室へ行く。教室に入った瞬間、これはさすがに最悪だと思った。自分の机と椅子だけが消えていた。
周りの友達にどこいったかを聞いても完全に無視される始末。どうにもならんね。
そこにちょっかいをかけていた奴が教室に来た。
「よう!聖二!あれ?お前の机ないじゃん。あっ、わかった!お前、障害だから机なくなったんじゃない?(笑)大丈夫だって!俺がやったから。」
耳を疑う言葉が飛び込んできた。その時聖二の中で何かが弾けた。
気がつけば、ちょっかいをかけていた奴の上に股がっていた。そしてちょっかいをかけていた奴は何故か知らないが完全にのびていた。
もしかして..俺がやったのか?何故だか悔しく、涙が溢れでた。そしてそのまま走って教室を飛び出した。
この時の心境は、とにかく悔しくてなんで自分が障害者なのか、力でねじ伏せることしかできなかった自分にも悔しかった。こんなことをしたいわけじゃない、ただみんなに理解を得ようとしたかっただけなのに、こんなじゃ駄目だ。この時はそう思った。
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