第四話 格差

入学式も終わり、翌日には初登校。


学校に着いた聖二を朝から担任の先生が呼び出す。

「給食の時間の前にまた職員室に来れるかい?」聖二はうなずいた。どうやらうちの母と先生とで話し合って個別授業をおこなってくれるというものだった。

四時間目の授業が終わり聖二は先生と一緒に職員室へ行った。小さな部屋に連れてかれ、そこで先生はホワイトボードと丸と三角のスタンプを出し、個別授業は始まった。

「じゃあ、まず丸と丸を足すと丸は何個になるかな?」

この時点でもう理解できていないと思われたらしく、聖二は答えた。

「2個..」

小さな声で答えた。

「正解!よくわかったね!じゃあ次これはわかるかな?」

数字ではわからなかった問題が図形になった途端答えれるようになる。俺の思考回路はどうなってんだろうと不思議でしょうがない。

入学してから1週間が経ったある日、聖二は母と一緒に担任の先生に呼ばれた。

教室で先生と真剣な話が始まった。

「これまで聖二君の学習能力をみせてもらいましたが、一度専門の所に行って見てもらうのはどうでしょうか?」

さすがの母も硬直する。硬直した状態で喋り出す。

「うちの子はちょっと弱いんでしょうか?」

との問いに先生は答える。

「それはまだわかりません。ですが、まわりの子達と比べてしまうと遅れをとっているように見えます。」

この話し合いで後日、某児童相談所に行くことになり、そこで詳しく調べてくれることになった。

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