第28話 勇者がやられた!
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「小姫。
「(ゴクリ)そ、そのよう……ですわね」
母上の部屋は和室だ。障子のむこう側に二人がいる。
オレと小姫は隣りあって、伏せ状態で部屋の中の様子をうかがっていた。
うすい障子ごしに衣擦れの、なまなましい音がする。
「やっ やらぁ あっ ああっ」
あえぎ声……。
おっ、おわぁ……。間違いない。グリーンの声だ……。
クッ。間に合わなかったか。
「わたくしだけで来なくて、ほんとうによかった……」驚愕しながらも、どこか安堵の表情をうかべている小姫。
すでに
「おにいさま。おにいさま」オレの肩を揺らす小姫。心配そうにオレの顔をのぞきこんでいる。
「……あっ、ああ。ごめん小姫。すこし意識がとんでいた」
予想できたこととはいえ、じっさいにやってしまっているとは。
母上ェ……。
そこはうまく回避してほしかった。回避すべきでしょ! うまく寸止めでお茶を濁しとくのが大人ってもんでしょうが! ……や、やっちゃったら、ぜんぶ、そこでお終いでしょうがっ! マジで、どうすんですかこれから! ノンストレスですか? 初日でエンディングですかっ! この先、白神家はどうなっていくんですか!
「あっ ああっ そこはダメです そんなだめ そんなところ きたないです うあ ご主人様ぁああ!!」
「「!? ご、ご、ご主人様!?」」
オレと顔を見合わせる小姫。やはりそこは……すでに主従関係が生まれていたか。母上はどうみてもS。グリーンはリアクション全般からMだろう。ミドリムシのMと覚えれば、かんたんだね。妙になっとくしてしまった。
「そ、そんなところって……、どんなところなのでしょうか?」
「それは、たぶん……って、とてもじゃないけどオレの口からは、いえない! オレにきかないで!」
グリーンのそんなところに関して、モヤモヤとしたものが頭にうかぶ。ブンブンと振り払う。
「んあっ くる ま またきます
ふぁああっ! イクっ! またイクっ!!!!」
「「!? ま、まま、また!?」」
まただったか……。しかもイッちゃったか……。母上は、朝までグリブるっていってたから、まだまだ続くのだろう。これって何度目なのだろう。そしてこれから朝までに、何度くり返されるのだろう……って、そんなことはいまはどうでもいい!
「あ、あの。おにいさま……」オレのシャツをつまむ小姫。
「!? なっ、なにかな小姫!」声が上ずった。
「どうします? これから。わたしたちは……どうしますか? お兄さまはどうしたいですか?」耳のさきまで赤くした小姫がそんなことをいう。ちょ、瞳を潤ませないで! あとモジモジしないで小姫! ヘンだぞ小姫! そんな様子されたら、オレまでへんな気分になるから!
「た、たすけるべきかな? ……こういうときって」
オレの問いに、首を横にフルフルさせる小姫。しなやかな黒髪がゆれる。カオの距離が近いだけに、脳の奥にちょくせつとどくような髪の香りにクラッとくる。やっぱ綺麗だよな小姫。妹じゃなかっ……い、いかん。動揺している。じつの妹に……どうかしてるぞオレ。
「いろいろと、もう手遅れなようです。残念ですが……」
「う、うん……」
「とりあえず、わたくしたちはお兄さまの部屋にもどりましょう」
「そう、だね」
「愛の形にはいろいろあるんですね。そう……いろいろあっていい。フェニ子に教わった気がします……見習わないと」なにやら決意を秘めた表情で小姫。気になることをつぶやいているけど……。
そんなやりとりがあって、しずかに去ろうとしたとき――
「ふぁああああああああああああっ!! おにいちゃん!!」
「「!? !? !? お、おおお、おにいちゃん!?」」
ひときわ高くひびいたグリーンの嬌声。オレの方に驚愕の視線をおくってくる小姫。い、いや! オレは小姫のお兄ちゃんだけど……って、意味がわからない! なんだ? おにいちゃんて! ご主人様っておにいちゃん? 母上の他に誰かいるのか? えっ? え? どういうこと?
「しゅごい しゅごいいい うあ゛ッ あたしのイキお〇んこに
総統閣下のお〇んぽミルクを そそいでっ たくさんの熱い白濁液を そそいでえええ!!!!」
「うぉい! そそげないでしょ! ないでしょ母上ェ!! なにそそいでるの! グリーンになにそそいじゃってんのォ!!!!!!」
思わずオレは、障子をスパーンと開けて、絶叫してしまっていた。
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