英雄てきな死

昨日の仲間は今日の...

目の前には、私の体の五倍はありそうな魔物が倒れている。

やった。やったのだ!私は遂に成し遂げたのだ。

私の眼前で地面とランデブーしている、この魔物。私達、人間に魔王と呼ばれ恐れられていたもの。三百年の間、人間達を奴隷の様に扱い、この世に暗黒をもたらした災厄。その魔物が今、死んだのだ。

「やった!俺達はやったんだ!」

「これで世界が救われたね!」

「俺達は自由だぁぁぁ!」

後ろでは、この長い苦楽を共にした仲間が感嘆の声を上げて喜んでいる。私達五人は遂に人々に幸せをもたらせたのだ。

「ぐわぁぁぁ!!」

「あついぃ!あついよぉぁ!!」

「なん…でぇ。」

私の耳に仲間の悲鳴がのった。

わけもわからず、私は後ろを振り向く。

そこには焼け落ちた仲間がいた。しかし、私の目にはその光景はどーでも良かった。私の目は杖をもちながら笑っている仲間のカフカに奪われていた。その笑いは仲間に対する嘆きなどでは決して無く、むしろ嘲りに聞こえてしまった。

「なにが…あったの…?」

私の口からは、か細く紐のような声しかでなかった。

「ん?それはね。」

カフカは何も感じ取れない笑みを浮かべ私に近付いてきた。

その直後、腹に鈍痛を感じた。視線を下ろすと腹は鮮やかな赤に染まっていた。そのままうつ伏せに倒れる。

「なん…で…。」

私の口から出てきた言葉はまたしてもか細い声だった。

「何でって?知りたいの?うーん、貴方とは仲良かったし教えてあげる!」

カフカはとてもはしゃいだ様子で私に語りかけ始めた。

「私はね、最初から貴方達の仲間なんかじゃないのよ。私はさ、こいつらとは敵対している魔族でね。こいつらを絶滅させて、この世の支配権を私達のものにしたかったのよ。でも、私達だけでは種族の相性が絶望てきだったの。その時、貴方達を見つけて利用しようと決めたの。感謝してよね、私のお眼鏡にかかったおかげでここまで来れたんだから。」

カフカはおもちゃで遊ぶ子供のように喋っていた。

そんな…。私の頭の中でこれまでの冒険の記憶が鮮明に浮かび上がり、一つ一つが音をたてて壊れていく。

「死に…たくない…。嫌だ。やっと平和になったのに…。」

嫌だ…。なんの為にここまできたんだ!これでは今までと変わらないじゃないか!

「だーめ!貴方はここで死ぬの!」

カフカは私の背中に足をのせ、圧迫する。

「あ、がぁ!」

背中がメキメキと音をたてている。それを楽しむかのように見下すカフカの視線。

一気に背中を足でうたれる。その衝撃は心臓にまで達した。

「がぁ!」

…。

嫌だ…。死にたく…


私の心は潰れた。

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死に方を妄想するのが好きな私が妄想した死に方を書き留めてみた モネルナ @Moneruna_Artist

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