Mobてきな死
赤い空と青い空
日が真上からさし、体からは萎むんじゃないかと思うほどの汗が出る。私の体はスポンジ何じゃないかと疑ってしまう量の汗。
病的な暑さの夏の昼。
私は一人秋葉原のスクランブル交差点にいた。今日、とあるビルでアニメのイベントがやるのでそこに赴くためだ。
イベントに私の心は浮き足立ち、実際に足も浮いている様に軽い。
「キャー!!!」
何処かで悲鳴が聞こえた。その悲鳴は秋葉原には似つかない物だった。秋葉原とて、悲鳴が響く事はある。それこそまさにイベント後の熱狂冷めやらぬファンなどが叫んでいたりする。しかし、先程のそれは確実に前者の物とは違った。恐怖の混じった悲鳴であった。
「キャー!!!」
「ウワァァァ!!!」
「逃げろぉぉぉ!!!」
悲鳴が周りに伝染していく。
私は悲鳴の理由が掴めずにあたりを見回すことしか出来なかった。
数秒後、私は一瞬の内に悲鳴のわけを理解した。
私の目には一人の男が鮮明に反射していた。その男の手には拳銃が握られていて、照準はこちらを捉えていた。
私はただ立ち尽くすしかできなかった。
…。
高い爆発音が秋葉原に響いた。
…。
私は腹に違和感を覚えた。目線を下げると服は赤い染みがじんわりと浮かんでいた。そのまま、膝から崩れ落ちる。膝で一旦とまり、赤黒い液体が軽く中を舞い、まき散らされ、そのまま仰向けに倒れる。
私は赤い空と青い空を見上げた。
私の肉体は動きを止めた。
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