第4話二人の出会い3

朝日が上り、カーテンの隙間から陽の光が入り込み綺麗な光の道ができている。外からは小鳥のさえずりが聞こえてくる。

「お兄ちゃん、朝だよー、起きてー。起きないとキスちゃうぞー?」

バッ!なにか、今葵の声が聞こえたような気がする。俺は急に身の危険を感じ、目を覚ます。あたりを見渡すが気配すら感じない。ふむ、気のせいか。時計を見るとまだ6時半。よし、あと2時間は寝れる。俺は再びぬくもりの残っている布団の中に入ろうとした時、

「お兄ちゃん!二度寝しちゃダメだよ!!早く起きてー」

バッ!どこだ、どこからあいつの声が聞こえる?俺は再びあたりを見渡すがさっきと変わらず気配すらない。そして、俺は声の原因を確かめるべく、また布団に入ろうとしたと同時に、枕元に置いていたスマホから、

「お兄ちゃん、さっきから二度寝はダメって言ってるでしょ!!」

スマホから葵の声が聞こえてくる。なんだ原因はこれか・・・・・・いや、まてまて。なんでアラームがかかっているんだ。かけた覚えないのに。それになぜ、アラームの音声が葵の声で、しかも、スヌーズのタイミングが俺が布団に入ろうとしたタイミングピッタリなんだ・・・・・・あいつ、どこまでハイスペックなんだよ。今度来た時にしっかりと言っておかないと。しかし、また寝ようとしてアラームが鳴ったらたまらないので俺は諦めて起きることにした。と、そこで、初めて布団の中に妙な違和感を感じた。そして、チラリと咲が寝ているであろう隣の布団を見るが、そこに咲の姿は無かった。俺は、もしやとは思いながら、自分の布団をめくって見る。と、そこには咲が俺の腰に手を回し、右足に自分の両足を絡めた状態で寝ていた。俺は少しだけ驚きながらも(予想通りだったので)、咲のほっぺたをつつきながら、

「咲、朝だよー」

と、声をかけると、咲は意外とすんなりと起きた。葵のヤツとは大違いだな。あいつは俺がおデコにキスしないと絶対に起きなかったからな・・・・・・と、懐かしいことを考えていると、咲は「眠いです――」と目をこすっている。

「おはよ、咲。よく眠れた?」

「はい、おはよう・・・・・・ございます・・・・・・」

「じゃあ、ちょっくら、朝ご飯作ってくるね」

と言いながら、俺は朝食を作るためにキッチンに歩いて行く。残された咲は、優羽が部屋を出ていったのを見て、優羽が寝ていた布団に再び潜り込んで、再び眠りへと落ちていった。


咲が二度寝しているとは考えもしない優羽は一人暮らしをするならと教えられた料理の中のレシピの卵焼きと味噌汁とご飯、簡単なサラダを2人分作っていた。


ーーーーー30分後ーーーーー


そして、皿に朝食を盛り付け終わった後、俺は布団をたたみに部屋に戻ると

俺が渋々諦めた二度寝を簡単にしている咲がいた。

「え、咲。なんで二度寝しているんだよ!?朝ご飯だそ、起きろ〜」

と、俺は言いながら、咲を揺さぶり起こす。

「朝ご飯・・・・・・いい匂いです」

と言いながら、また半開きの目をこすっていた。

「咲、ふとんたたむから、手伝ってくれない?」

と言って、自分の寝ていた布団をたたむ。たたみながら、咲に所々コツやマメ知識を教えながら、たたんでいく。その後、布団を押入れに片付けて、テーブルを出して、そこに作った朝食を並べていく。

「パパ・・・・・・すごく美味しそうです」

「お、ほんとに?じゃあ、食べようか」

そして、2人は手を合わせて、


「「いただきます」」


そして、食べ始める。朝食は少なめに作ったからお互いあまり時間はかからなかった。咲が食べ終わったのを見て、また、2人は手を合わせて、


「「ごちそうさま(でした)」」


と言って、俺は食器を持ってキッチンの方に向かう。その途中で、

「咲、食器持ってきてくれない?」

と、声をかけていく。それを聞いて、咲も自分が使った食器を持って、後ろに続く。素早く食器を洗った後、部屋に戻ってきた後、俺はスマホのメールを見る。それを見て、読書をしていた咲に話しかけた。

「今日、俺の担当が来るから。一応知っといてね。まあ、そいつが来たらとりあえず気をつけてな」

「はい・・・・・・どうしたんだろう?」

その会話を最後に俺はパソコンに向かい原稿を進め、咲は壁に背中を預けて読書をしていた。


日がちょうど正午の位置に昇った頃、原稿を進めないといけないとは思いつつ、やはり空腹には勝てず、俺は昼食を何にしようかと悩んでいた。

「咲、お昼何食べたい?俺が作れるやつだから限界はあるけど・・・・・・」

と、ずっと壁に背中を預けて読書をしていた咲に聞いてみることにした。隣には読み上げたと思われる十数冊の本が積まれている。

「お昼ご飯・・・・・・うーん」

と、呟きながら悩んでいる。それを見て、少し可愛いなと思ってしまう俺がいる。少しだけだからな!!

「パパ、カルボナーラがいいです・・・・・・昨日食べたのが美味しかったから・・・・・・」

おぉ、カルボナーラときたか、しかし、大丈夫!!好きな食べ物は自分で作れるものさ。

「いいよ、じゃあ、今から作るから待っててね」

「はい」


そして、俺は調理を始める。材料を出して、マニュアル通りに作っていく。週1ぐらいのペースで自分で作って食べているので、作る手際は迷いなく素早い。途中途中自分なりのアレンジを加えて作っていく。そして、盛り付けて、俺の方には粉チーズをたっぷりとふりかける。やはり、カルボナーラはこうでないとな。ん、太るよって?わかってるけど、やめれないんだよ!!美味しすぎて。俺は両手に皿を載せて咲に戸を開けるように言う。

「はい、咲。お店のには劣っちゃうかもだけど(笑)」

と、冗談を言いつつ、咲の前に皿を置く。

「パパ、ありがとうございます」

「うん、それでは、」

そう言って2人は手を合わせて、


「「いただきます」」


そして、食べ始める。

「パパ、とっても美味しいです。お店のよりもとっても」

「ほんと?嬉しいなー」

たわいのない会話をしながら食べていく。二人とも食べあげて、食器を片付けて、部屋に戻ってきた俺はチラリと時計を見ると針は1時を指そうとしていた。

「今から1.2時間昼寝するけど、咲はどうする?」

俺は昼寝を1.2時間とることを習慣としている。まぁ、午後からスッキリした状態で原稿が書けるからだけど。

「あ、じゃあ、私も一緒に寝ます」

俺は押し入れから枕と毛布を2組出して、片方を咲に渡す。

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