恋してなくても恋人って呼ぶの?

それからの毎日は平凡な恋人同士そのものだった。

わたしは異動で勤務地が変わっていたので同じ職場でオフィスラブ的なドキドキ要素もなかったし、彼の一人暮らしのアパートが通勤途中にあったので朝寄っていちゃついてから出勤し、仕事帰りにまた寄っていちゃつくの繰り返しで毎日よくあきないなってくらい体を重ねていた。

休みの日はラブホに行きまくっていたしね。


でもそれはわたしの理想のカップルではなかった。

ここまで読んでくださった方はすでにお気づきだと思いますがTが好きなのはわたしではなく、Kだったからだ。

今となってはどうやってそれを知ったのか思い出せないけれど、多分わたしのほうから「Kが好きなんじゃないの?」って聞いたような気がする。

わたしたちの関係は営業所の人には秘密で、度々一緒にでかけていたKにまで秘密にしていたのを不審に思ったのかもしれない。

わたしとKはわたしが異動になってからいつの間にか疎遠になっていたけれど、KとTは二人で遊びにいっているらしかった。


「Kが好きなんじゃないの?」に対してTの答えは

「でも振られたし」


2人で遊びに行くのをやめてほしいと頼んでも「振られたんだから、ただの友達」を繰り返し、結局はこそこそ遊んでいたらしい。


今思うとどうしてわたしの口からKに「Tと付き合ってるから二人では会わないで」って言わなかったんだろう?

理解のある年上の女って思われたかったのかな。

そんな余裕なかったくせに。



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