第2夜 そこには奇妙な睡眠がある

 夢をみた。


 そこには枕が並んでいた。

 わたしは家族と一緒にそこに連れてこられたのだった。

 枕には半透明の文字で、


「そこには奇妙な睡眠がある。」


 と、書かれていた。

 この枕で眠ると、望む夢の世界へ行けると、白衣の男が説明した。


 それは呪術なのだろうか。

 私は不思議に思った。


 気が付くと家族とともに大きなバスに乗っていた。

 私の妹か、姪か、娘のような少女が、バスの窓から大きく身を乗り出す。

 大丈夫なの、と私が訊くと、


「これは夢だから」


 と言って、きれいな水色のアイスクリームを食べている。


 空は晴天でとても暑い日なのに、アイスクリームはちっとも溶けない。

 私はそれで、ここはもう、あの枕の世界の向こうなのだな、とぼんやり気づいた。


(おしまい)

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