第十二章 ヤカタを捜して

十二章 ①『犯人を捜して!』

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 マーちゃんは自分の部屋にいた。あたしがノックするとすぐに扉が開かれ、マーちゃんがひょこっと顔をのぞかせた。


「待ってたんだよ。さ、入った入った」

 最初はちょっと気まずくなるかも、と思ったけど全然そんなことはなかった。笑顔も話し方もいつものマーちゃんだった。

「さ、座って座って」

 マーちゃんはあたしをベッドに座らせた。そして自分もベッドの上に座った。マーちゃんはすでにパジャマ姿で、それがまたものすごく似合うのだった。


「はい。さっちゃんもこれに着替えて。パジャマパーティーみたいにしようよ」

 あたしもマーちゃんのパジャマを借りて着替えた。レースのついたブルーのかわいいパジャマだ。それから大きなベッドの上に並んで座ってみると、なんかものすごく仲良くなれた気がした。


「なんか外国のドラマみたいだね」

 とあたし。マーちゃんはまさにそんな感じだった。

「ホント。実際にやってみると、なかなかいいもんだね」


 二人で大きなクッションを抱いて、えへへと笑いあった。


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「ところでさ、マーちゃん、首の傷は大丈夫なの?痛くないの?」


 マーちゃんはちょっと疲れたような笑みを浮かべた。

「まぁまぁ。それよりさっちゃんはどお?」

「あたしもへーき。最近、なんか回復力がすごいの」


 それからちょっと沈黙した。この先、お互いどう切り出していいか分からなかったのだ。それで二人で「えへへ」とまた照れ笑いをした。でもあまり先延ばしにするわけにもいかない。なんといっても時間もないし。


「まずはさ、あたし、マーちゃんに謝らなきゃいけないよね。友達なのにいろいろと隠してて。ホントごめんなさい……」

 ぺこりと頭を下げる。するとマーちゃんはすぐに答えてくれた。


「許します。さっちゃんにもいろいろ事情があるの分かるし。仕方ないよ。それにあたしだって、そうしたかもしれない。だからごめんなさいは終わりにしよ、ね?」


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「うん。わかった。そうする。それでね、あたしも今から、知ってること全部話そうと思うんだけど、聞いてくれる?」

「もちろん。話したいことは何でも話して。それにさ、若君さんの話だと、あたしたち同じ仲間なんでしょ?選ばれた特別な仲間」


「うん。そのこともちゃんと話さないとね。それでさ、一つお願いがあるんだ……協力してほしいの」

 その言葉にマーちゃんがグイグイと近寄ってくる。

「あたしに?なになに?」


「これからね、ヤカタって呼ばれてる、バンパイアのオリジナルの人を捜さなきゃいけないの。今回の問題を引き起こした張本人で、事件の犯人というか、黒幕なのね。町の人だとは思うんだけど、あたしどうしても分からなくて」

「ずばり、推理ね!」


「そうなの。マーちゃんの推理力を借りたいのよ。犯人を捜してほしいの」

「いいセリフ!『犯人を捜して!』って、こんな日が来るのを待ってたの!」


 マーちゃんはそう言って、メガネをかっこよくはずした。


「まかしてよ、この名探偵マーガレット・メイに」

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