第十二章 ヤカタを捜して
十二章 ①『犯人を捜して!』
✚
マーちゃんは自分の部屋にいた。あたしがノックするとすぐに扉が開かれ、マーちゃんがひょこっと顔をのぞかせた。
「待ってたんだよ。さ、入った入った」
最初はちょっと気まずくなるかも、と思ったけど全然そんなことはなかった。笑顔も話し方もいつものマーちゃんだった。
「さ、座って座って」
マーちゃんはあたしをベッドに座らせた。そして自分もベッドの上に座った。マーちゃんはすでにパジャマ姿で、それがまたものすごく似合うのだった。
「はい。さっちゃんもこれに着替えて。パジャマパーティーみたいにしようよ」
あたしもマーちゃんのパジャマを借りて着替えた。レースのついたブルーのかわいいパジャマだ。それから大きなベッドの上に並んで座ってみると、なんかものすごく仲良くなれた気がした。
「なんか外国のドラマみたいだね」
とあたし。マーちゃんはまさにそんな感じだった。
「ホント。実際にやってみると、なかなかいいもんだね」
二人で大きなクッションを抱いて、えへへと笑いあった。
✚
「ところでさ、マーちゃん、首の傷は大丈夫なの?痛くないの?」
マーちゃんはちょっと疲れたような笑みを浮かべた。
「まぁまぁ。それよりさっちゃんはどお?」
「あたしもへーき。最近、なんか回復力がすごいの」
それからちょっと沈黙した。この先、お互いどう切り出していいか分からなかったのだ。それで二人で「えへへ」とまた照れ笑いをした。でもあまり先延ばしにするわけにもいかない。なんといっても時間もないし。
「まずはさ、あたし、マーちゃんに謝らなきゃいけないよね。友達なのにいろいろと隠してて。ホントごめんなさい……」
ぺこりと頭を下げる。するとマーちゃんはすぐに答えてくれた。
「許します。さっちゃんにもいろいろ事情があるの分かるし。仕方ないよ。それにあたしだって、そうしたかもしれない。だからごめんなさいは終わりにしよ、ね?」
✚
「うん。わかった。そうする。それでね、あたしも今から、知ってること全部話そうと思うんだけど、聞いてくれる?」
「もちろん。話したいことは何でも話して。それにさ、若君さんの話だと、あたしたち同じ仲間なんでしょ?選ばれた特別な仲間」
「うん。そのこともちゃんと話さないとね。それでさ、一つお願いがあるんだ……協力してほしいの」
その言葉にマーちゃんがグイグイと近寄ってくる。
「あたしに?なになに?」
「これからね、ヤカタって呼ばれてる、バンパイアのオリジナルの人を捜さなきゃいけないの。今回の問題を引き起こした張本人で、事件の犯人というか、黒幕なのね。町の人だとは思うんだけど、あたしどうしても分からなくて」
「ずばり、推理ね!」
「そうなの。マーちゃんの推理力を借りたいのよ。犯人を捜してほしいの」
「いいセリフ!『犯人を捜して!』って、こんな日が来るのを待ってたの!」
マーちゃんはそう言って、メガネをかっこよくはずした。
「まかしてよ、この名探偵マーガレット・メイに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます