第1425話 袋小路の抵抗

「駄目ね、入手出来るデータはどれも尽く私達がこれまで入手したデータと重複している。

先に此方を訪れていれば有意義なデータとなった物なのでしょうけど、既にそのデータを入手している現在においてはね……」


機器を操作している星峰が呟いたこの一言がその全てを物語っていた。

更にその直後涙名が


「皆、外から何か音が聞こえてくるよ。

それも良い展開じゃない音が……ね」


と話すと一同はその言葉に従い聞き耳を立てる。

すると涙名の言う通り、此方に機械が接近している様な金属音が鳴り響いていた。

しかもそれは秒単位でどんどん強く大きくなっていく。

それが迎撃兵器の起動音、移動音である事は疑う余地は無かった。


「星峰、兵器が接近しているみたいだわ。

機器の電源を落として早く此処から……と思ったけど」

「ああ、もう間に合わない様だ」


空狐と天之御がそう呟いた直後、その言葉通りに目の前に兵器の集団が出現する。


「迎撃するしか無いみたいだね、此処は」


天之御がそう言うとモイスは


「幸い向こう側は通路だ、遠慮無くやらせてもらうぜ!!」


と言って銃を構え、兵器に対して発砲して攻撃していく。

しかしやはり兵器の装甲は硬く、その程度では破壊出来ない……と思われたのだがその直後に銃弾を受けた兵器が突然機能を停止しその場に崩れ落ちる。


「兵器が崩れ落ちた?一体何が……」

「内部から侵食する魔力を弾丸越しに打ち込んだのさ、これで動きは停止する筈だ。

最も魔力だから青制御には無効化されちまうが」


兵器が崩れ落ちた事に困惑するシレットに対しモイスはこう説明する。

どうやらモイスから事前に聞かされたりはしていなかった様だ。


それを確認するとシレットは


「成程、モイスなりに兵器との戦い方は考えていたって訳ね」


と納得した表情を浮かべ、それに対してモイスは


「当然だろ!!俺だけが木偶の坊になる訳には行かねえんだ」


と強い口調で返答する。

だがその直後に又兵器が現れ、モイスは再び銃弾を撃ち込むが今度現れた数体は動きを止める事が出来ない。


「動きが止まらねえって事は青制御って事か、ちっ!!」

「だったら私達に任せて」


予想通りの青制御だった事にモイスは少々苛立ちを覚えるがそこに岬が割って入り


「妖空刃」


と言って前方に妖力を込めた衝撃波を放って兵器を弾き飛ばす。

そのまま壁に叩きつけられた兵器の残骸を見てそれが青制御である事を確認すると岬は


「次は混成部隊が出てきそうね、その前に……」

「ええ、此処から離れた方が良いわ」


と発言し星峰もそれに続ける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る