第1424話 二重の罠 三重の罠

すると今度は扉全体から触手が伸び、最早異形の化け物としか思えない外見となって一同にそれを伸ばしてくる。


「つっ、予想外の反撃に焦燥感を抱いたのかしらね?だけどそんな焦って攻撃した所で!!」


シレットはそう言うと前方の触手に雷撃魔術を放ち、迫ってきた触手を迎撃する。

するとその触手は明らかに怯み、そのままたじろいで扉の方へと戻っていく。

だが其の直後、雷撃を逃れた他の触手がシレットに迫ってきそうになる。


「黒羽の風刃!!」


続いて八咫がこう叫ぶと翼から黒い風を巻き起こし、そのまま触手目掛けて放って切断する。

魔術と妖術の双方が効いたことによりこの兵器は少なくとも赤制御、青制御の兵器でない事が確認出来る。

すると一同は一斉に魔術、妖術を扉に向かって放ち、迫ってくる触手を全て退けつつ扉の破壊に成功する。

すると其の奥には先史遺産の遺跡でお馴染みの機器が並ぶデータルームが存在していた。


「扉の奥にはデータルームか……だとすると此処は……」

「ええ、残念ながら有力な情報は得られない、或いは初めから罠だった可能性が高いね」


データルーム内に足を踏み入れたコンスタリオと天之御がこう呟くと空狐は


「?どうしてそう言い切れるんです?」


と問いかける。

それに対して星峰が


「仮に此処が重要なデータを保管するデータルームだったとしたらさっきの扉型擬態兵器を配置するのはどう考えても問題だわ。

兵器と交戦する際にデータルーム内の機器が破損してしまう可能性が十分考えられる。

そして兵器である以上誤動作の可能性は常に考えておく必要が有る筈、それを敢えてしているという事は別の入口が存在しているか、或いは……」

「此処にはそもそも重要なデータが存在していないか、そういう事ね」


二人に代わって返答すると空狐も納得したのか首を縦に振る。

それに対してコンスタリオと天之御が話に割って入ってきたにも関わらず何も言わない事が其の正しさを証明していた。


「しかしよ、一応調べておいた方が良くねえか?もしかしたら掘り出し物が見つかるかもしれねえしよ」

「ええ、もとよりそのつもりではあるわ、願わくばこの施設の地図データ位は入手できると良いのだけど」


モイスが一応は調べておく事を提案すると星峰はそれを了承し、部屋の中に有る機器の電源を入れて操作し始める。

しかし、機器の中に記録されているデータは一同の予想通り悉くこれまで入手したデータと同じ物であり、新たな収穫を得る事は出来ない。

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