第1396話 迫る終焉への道

「アンナースの治癒をしっかりとしてくれるというのであればその申し出は受けさせてもらうわ。

最も、それ以外の選択肢が私達に用意されているのか、正直その点からしてまず疑問なのだけど」


天之御の顔を見つめ、コンスタリオも納得した様な、無念な気持ちを浮かべている様な表情を浮かべる。

それに対して天之御は


「受け入れてくれた事、感謝するよ。

そして彼女の治癒はしっかりと行う、だから僕達にやらせて欲しい」


と返答してアンナースを何処かへと転送する。


「隊長、良いのですか?彼女は……」

「確かにアンナースを折角救出したのに側にいてあげられないと言うのは心配では有るわ、だけど彼女が負っているダメージを私達が治癒出来るという確証は何処にもない。

それに人族側の拠点で保護をしてももし彼女がブントによって何らかの操作を受けてしまっていたらそれを理由に私達に攻撃してくる可能性も無いとは言い切れない。

その点を考えると……ね」


シレットはコンスタリオの決定に何処か不服そうな顔を見せるものの、直後にコンスタリオからの返答を聞き


「そうか……そうですね……私達はこれからブントとの一大決戦を迎える、それに当たって必要以上の懸念材料を抱え込むのはリスクが高すぎますよね……」


と残念な声を上げつつも同時に何処か納得した表情と声も浮かべる。


「さあ、そうと決まればこんな所に長居は無用です、データの保存も完了しました」


星峰はそう言うと機器と接続していた自身の端末を切断し、そのまま端末に取り付けていた媒体を二本取り出し、その内の一本をコンスタリオに手渡す。


「え……スター……これって……」

「このデータは皆さんにも必要でしょう、だけど細かなやり取りまで此方からしていたのではきりがありません、なので……」

「俺達の方でも調べられるだけは調べろって事か。

よし、やってやろうじゃねえか」

「実際にそれをやるのは私でしょうが……」


星峰から端末を手渡されたコンスタリオ小隊は困惑した表情を浮かべるが、それが今後の為にデータを共有しておくべきだという意図で有る事を察知しその顔はやる気と笑顔に満ちる。

最も、軽はずみな発言をしているモイスにコンスタリオは少々呆れた顔を見せてもいるが。


「貴方達については僕が転移妖術で入り口まで送ります。

流石に拠点に直接転移妖術を使ってしまうと怪しまれてしまいますからね」


天之御がそう告げるとコンスタリオ小隊は


「それが最善の策ね、飛空艇を置いて帰る訳にも行かないし」


と全員納得した様子を見せる。

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