第1395話 ブントの隠し玉

「つまり、あの兵器はそれだけ危険な存在であると言う事ね」

「ええ、此処に残されている記録を調べてみたけどあの兵器はどうやら通常の生産技術では性能が頭打ちになってきた為に新しい方法を考えて製造された、つまりその下にある兵器は量産型の兵器としては最上位といてる性能を持っていると言う事なのよ」


コンスタリオの問いかけに対する星峰の返答も又その事実を裏付けている。


「それで、そのデータは既にブントが持ち去った痕跡は有るの?」

「残念だけど存在しているわ、只、これまで私達が入手したデータの中にはこの兵器のデータは存在していない。

これはつまり……」

「これまでに調べてきた兵器生産プラントの中にはこの兵器のデータは存在していないって事だね。

だけどそんな兵器をブントが生産していないとは考えにくい、そう考えるとこの兵器が仮に生産されていたとしたらその場所は……」

「ブントのお膝元と考えてまず間違いないでしょうね、そしてこの施設が陥落した事を知った以上、ブントも虎の子を繰り出してくる可能性は極めて高い」

「ブントの本拠地に行ったらその兵器との戦いは避けられねえって訳か、まあ、元から安全に辿り着けるなんて思っちゃいねえけどよ」


天之御、星峰、モイス、コンスタリオがそれぞれ口にしている言葉はブントがまだ隠し玉を抱えている可能性とその決戦がそう遠くない未来で行われる事を予測するのには十分過ぎる内容であった。

それを感じ取ったのか、シレットも


「ブントがこの施設を調べた事で地上の戦乱は更に混迷を極めた、だけどそれだけじゃない、生命を踏み躙る暴挙まで受け継いだと言うのなら私は……」


と内心で怒りを新たに感じる。


「データの量があまりに膨大過ぎるわ、これを今日此処で全て解析するというのは時間が掛かり過ぎる。

彼女の事もある以上、此処は一旦データを入手して後退し、本部に戻ってからデータを解析するというのが最善だと思うわ」


星峰がこう提案すると天之御も


「ああ、あの少女を何時までもあの中に入れておく訳には行かないからね。

それに先程の彼女を組み込んでいた兵器、あれが万が一少数でも量産されていたら次は一斉に来るかも知れない。

そのリスクも考えて此処は一旦戻るべきだ」


とその提案に同意する。

それを聞いたシレットは


「それは分かったけど、アンナースはどうするの?可能であれば私達の所で保護したいのだけど……」


とアンナースの状況について心配する、だが天之御は


「それについてだけど、申し訳ないが少しの間だけ彼女の事を調べさせて欲しい」


とシレットに返答する。

無論、その顔に浮かんでいる申し訳無さは嘘ではないが。

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