第1394話 終焉の始動

「これは……これまで見てきた度のデータルームのデータよりも詳細で複雑なデータね……重複している部分を参照してみただけでもそれが分かるわ」


何時もの様に星峰が機器を操作し、手元の端末のデータと照合すると目の前のモニターに表示されている部分の中で既に入手しているデータと重複している部分の文字が変色するが、その部分が跡切れ跡切れになっており、且つその間にも文章が組み込まれている。


「この文章が変色している部分が既に入手しているデータって事ね。

でも変色部分の間にも文章が挟み込まれている、それも只文を繋いでいる訳じゃない、明確に何かを説明している文章である事は容易に想像出来るわ」


コンスタリオも又、目の前の文章の謎には気付いている様だ、手元に端末を持ち、何かの操作をしながら文章を比べている所を見てもそれは明らかである。


「しかも文章だけじゃないわ、そこから移動出来る詳細なデータ部分を照合してみたけど明らかにこれまでのデータルームに記録されている内容より詳細で明確な回答が行われている。

この事から考えてもこのデータルームは全てのデータを集約している、或いは全てのデータの原本である事はまず間違いないわ」

「つまり、ここには先史遺産の兵器のデータが全て記録されていると言う事?」

「ええ、それもかなり初期の頃に製造された兵器のデータからね。

この戦乱で初めて兵器が用いられたのはもう遥か昔、魔神族と人族に戦乱の神話が伝えられた頃まで遡っているわね」


星峰とシレットの会話はそれ単体でも驚くに値する物だが、星峰が口にした神話という単語を聞いた瞬間に一同は一斉に顔色を変える。


「戦乱の神話って、確か……じゃあ、それが意味するのは!!」

「ええ、天之御が気付いた事と見事に一致するわ。

やはりこの戦乱は、そしてその黒幕の居場所は!!」

「黒幕の居場所と口にしたと言う事はつまり、ここのデータにそれが記載されているって事だね」


コンスタリオが星峰の言葉に続くと星峰は黒幕という非常に大きな意味を持つ単語を用い、天之御もそれに反応する。


「つまり、愈この戦乱に終止符を打つ時が近付いて来てるって訳か」

「ああ、だがまだ油断は出来ねえぞ。

ブントもかなり追い込まれているだろうからな、そろそろ形振り構わず何かをしてくるかも知れねえ」

「その可能性は高いわね、此処に記録されているさっきの兵器、つまりアンナースという少女を制御装置にしていたデータの存在がそれを裏付けているわ」


八咫とモイスの熱り立つ声に続き、星峰がデータの詳細を聞く様に呼びかける。

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