第1389話 落ちる先の希望

「狐妖術……破邪の紅玉!!」


星峰はそう言うと手にした剣に赤い光を纏わせ、そのまま兵器に接近してその剣で推進装置を貫く。

だが当然推進装置は再生を開始し、直ぐに体制を立て直そうとする。

その直後に涙名も爪に力を込め、再び推進装置を貫く。


「これで少しは行けるはず!!」


空狐がそう叫ぶと同時に二箇所の推進装置を同時に破壊された兵器は墜落を始め、再生はしているものの地上へと降下していく。


「スター達は一体何を?あの兵器を落下させているというのは理解出来るけど……」


シレットがそう口にした所を見るとどうやら星峰達の行動の目的を掴みかねているようだ、だがそれとは対象的にコンスタリオとモイスは何処か納得しているような表情を見せている。

その評定に気付いたシレットが


「モイス?それにコンスタリオ隊長も……二人はスター達の狙いが何なのか分かるんですか?」


と問いかけると二人は


「ああ、完全に分かる訳じゃねえが、何となくは……な」

「彼等が兵器を地上に落とそうとしている、それは分かるわよね」


と言葉を続ける。

その問いかけに対しシレットは


「え、ええ……それは私にも分かりますが、それが何を?」


と問いかける。

どうやらそれだけではまだ分からない部分が有る様だ。


「兵器が地上に落ちてくるって事はつまりどういう事だ?」

「まあ、接近出来る、格闘術で攻撃出来る様になる……もしかして!?」


此処までの言葉でシレットも気付いたのか、兵器の方に視線を向ける。

その兵器は少しずつでは有るが、確実に地面に、そして一行に対して接近しつつあった。


「あれだけの兵器が地上に落下してくる……スター達がやっている事とはいえ、少し恐ろしい気配を感じるな……」


落下しつつ有る兵器に対して分かっている事とはいえコンスタリオ小隊は緊張感を隠せない様だ。

モイスのこの発言にそれが見え隠れしている。

だがその時、コンスタリオ小隊の視線の先で兵器は体制を立て直し再び飛翔しようとする。


「推進装置の修復が完了したと言う訳?だけど甘い!!狐妖術……魔滅の白霧」


空狐はそう叫ぶと兵器の周囲に白い霧を発生させ、それが修復が完全に終了する前の推進装置の破損箇所にその霧を浸透させ、その修復を止めただけでなく再び破損させていく。

そのまま兵器は再び体制を崩して落下していき、後少しで床という所まで到達する。


「後少しで地面ね、だけどあの勢いじゃ……」

「いや、そういう事なんでしょう、星峰達は」


コンスタリオが兵器の勢いを心配するが、その直後に一同の周囲を黒い膜が包む。

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