第1387話 悪魔の繰糸

それを聞いた星峰は首を縦に振って頷く、どうやらコンスタリオの言う通りの様だ。


「ええ、二種類の制御を使い分けているのだとしてもそれには当然柔軟な思考能力が問われる事になる。

単なる機械であればそんな事が出来る筈は無いのでしょうけど、そこに生命の思考能力を組み込めばそれも可能になるという訳よ」

「その為にアンナースが必要だったという事なの……いえ、生体制御装置を組み込んでいる兵器は全てそれを……」

「いえ、だとしたら私達が此処に来るまでに戦っている生体制御装置を搭載した兵器も全て同様の制御装置を搭載している筈よ。

だけどあの大きさの生命ではそこまでの思考能力を持つのは不可能だったのかも知れない」

「それは一体どういう事なの?」


考えれば考える程疑問が尽きない、そう言わんばかりにコンスタリオ小隊は星峰に質問を続ける。

だがその質問を遮るかの様に兵器が黒い光を放ってくる。


「しまった!?くっ……」


質問に時間を使いすぎたのか、コンスタリオ小隊は回避動作が遅れてしまう。


「皆さん!!くっ、間に合って……白銀の魔鏡」


兵器の攻撃に気付いた空狐はそう叫ぶと再び白銀の魔鏡を使い、兵器から放たれた黒い光を白い鏡で反射して兵器に当てる。

すると鏡で反射された光は兵器の表面に当たっても霧散する事無く爆発し装甲に傷を付ける。


「兵器にダメージを与えられたの?だけど今の攻撃は兵器から放たれた物……つまり自分自身の攻撃は有効という事?」


シレットはこう発言するが空狐は


「いえ、そうではない筈よ……この攻撃で反射した攻撃は私の持つ力に変わる、つまり妖術に変わっている筈なの、だけどあの兵器にダメージを与える事は出来た」


と疑問を呈する。

だがその次の質問が来る前に天之御が


「その事について考えるのは後だ!!だとしたら空狐や星峰、涙名の攻撃ならあの兵器に対してもダメージを与えられるかも知れない、今はそれに掛けるしか無い!!」


と呼びかけた為、コンスタリオもそれに続けて


「そうね、今はこの状況を切り抜けるのが先決だわ」


と言葉を並べて兵器に対して対抗する手をうつのが最優先であると告げる。

だがその内心では


「今魔王は躊躇う事無く名前を上げていた、スターとスターの体を使っているあの空狐って魔族は分かるけど最後の名前、まさかとは思うけど……」


と内心で疑念を抱かずには居られなかった。

しかし先程自身がそう口にした以上これ以上疑問に気を取られる訳にもいかず、コンスタリオは視線を兵器へと向け直す。

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