第1382話 螺旋の先に
「やっぱり星峰に隠し事は出来ないわね、ええ、その通りよ。
私達の妖術を使えばあそこまで移動する事なんて動作も無い」
星峰の言葉に対し空狐は笑みを続けながらこう返答する。
若干星峰を誂っている様にも思える発言だが、その顔は明らかに信頼に満ちていた。
恐らくは星峰が今の言動をとらなかったとしても空狐はこう言葉を続けただろう。
「なら早速向かうよ、ここで井戸端会議をしている余裕はないからね!!」
天之御がこう呼びかけると同時に一同は視線を合わせ、そして首を縦に振って頷く。
その直後に星峰が
「狐妖術……導きの紫苑!!」
と言って紫色の妖力の道を出現させ、そのままそれを問題の中央部分に有る入り口へと繋げる。
「これで先に行けるわ、付いてきて!!」
繋がった道の先陣を切り、星峰は先へとその足を進めていく。
その後を追って天之御達魔王陣営、更にはコンスタリオ小隊も続いて向かっていく。
その入口の中は大きな螺旋階段が続いており、ひたすら上に登っていく、そういった印象の場所であった。
「ここをひたすら上に登っていくと目的の場所に着くようになっているの?
それにしては迎撃用の罠も兵器も居ない……何か不気味ですね」
「油断しないで、壁に擬態兵器が隠れているかも知れないわ。
先程も話した様にここに来る途中の扉でもそれが仕掛けられていたから」
螺旋階段の中に兵器が存在していない事を不思議がる岬に対し、コンスタリオは先程までの戦いから油断しない様に告げる。
最も、岬自身も油断している訳ではなく
「ええ、分かっていますよ。
私達も散々その手は使われてきましたからね」
とコンスタリオに対し心配無用といった趣旨の返答を行う。
それに対しコンスタリオは
「なら安心ね、いえ、此処に居る限り安心とは言えないのかも知れないけど」
と少し自嘲した様な返答を行いながら先へと進んでいく。
「そろそろ出口の様ですね、前方に扉が見えてきました」
涙名がそう告げると確かに目の前に光が差し込んでくる。
どうやらこの螺旋階段の出口の先に光が存在しているのは間違いないようだ、最も、それが希望とは限らないということはこの場にいる全員が承知していたが。
「さて、この先に何が存在しているのか、早々に当たりを引く事が出来るのか、それとも……」
天之御がそう言うと同時に一同はその扉を潜り、先の部屋へと足を進めていく。
だがその部屋は光に照らされているだけの、少なくとも見た目はただ広いだけの部屋であった。
だがその光景が逆に一同に警戒心を抱かせる。
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