第1381話 再びの交わり

「つっ、地面まで抉れるなんて……こんな兵器が量産でもされてしまったら……」

「ええ、だけどこれは同時に此方の好機にもなるわ!!まずは一旦距離を取る」


レーザーで抉れた床を見てシレットは焦燥感を覚えるが、コンスタリオはそれに対し逆に好機と見たという一見すると理解不可能な発言をする。


「好機って一体どういう事なんですか?この一撃を食らってしまったら……」

「いや、一旦距離を取るって言ってただろ、つまりそういう事なんだよ」


コンスタリオの発言に対しシレットは明らかに動揺した声を上げるが、モイスはシレットに対して諭す様な発言をする。

どうやらコンスタリオの発言の真意を理解しているようだ。


「説明している時間は無いわ、シレット、あの抉れた床を狙って雷撃の魔術を放って!!」


コンスタリオがシレットにそう告げるとシレットは


「え!?も、もうどうなっても知りませんよ!!」


と少々自棄になっている様にも思える発言をしながらもコンスタリオに言われたままに先程のレーザーで抉れた床に対して雷撃の魔術を放つ。

そしてその床部分に雷撃が当たるとそこから床の内部全体に雷が広がりそのまま崩れ落ちていく。


「え、ああっ!?」


床の崩落に巻き込まれる形でシレットは少し動揺した声を上げるが、そこにコンスタリオが


「シレット、少し体制を整えられる?無理だったら私が側に……」


と呼びかけるとシレットは


「いえ、その位は私もやってみせますよ!!」


と返答しそのまま受身の態勢を取る。

そして崩れた床とともに降下しつつ下へと目をやる、するとコンスタリオ小隊の目に魔王陣営が部屋の中に入ってくるのが入り、その表情が緩むのが明確に見える。


~コンスタリオ小隊の解説が終わる~


「成程、つまり上の階の中心部分に有るデータルームに到達する事が出来れば一気にこの施設を崩壊まで追い込めるかも知れないって事ね」

「そこまでは行かないかも知れないけど、そこに何か重要な情報がある可能性はかなり高いと思うわ」

「だったら次の目的地は決まったな!!」


コンスタリオ小隊の解説を聞いた岬がこう告げるとコンスタリオはそれを肯定し、それに続けて八咫が声高らかに宣言する。


「それは分かったけど、一体どうやって中央部分の入り口に向かうの?

床は貴方達が崩しちゃったんでしょ?」

「空狐、それは考えるまでも無い事なのは貴方も分かっているでしょ?」


コンスタリオ小隊の行動を諭している様に聞こえる空狐の口調だが、直後に星峰が指摘した様にその顔は全く心配していない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る