第1378話 扉の裏の裏に
そして次の攻撃が来たその瞬間、モイスは狙撃銃を構えて扉の中から触手が伸びていない部分を狙撃する。
その銃弾は貫通力の強い弾丸であるらしく、その扉の部分を貫通してその奥まで穴をあける。
すると擬態兵器から伸びていた触手がその場に静まり返り、完全に動かなくなる。
「や、やったの……あの兵器を……」
シレットが少し疲労感を感じさせる声でそう呟くとそれを証明するかのように静まり返った触手が崩れ落ちる。
「しかし、これでどうやって先に進めば良いのか、その点が……」
「いえ、先に進む道自体は見えているわ」
先に進む道が絶たれた様な印象を受けたモイスだがコンスタリオは更に先に進む道があると告げる。
その返答にモイスとシレットは一瞬困惑した表情を浮かべ、そのまま先へと向かっていくが当然そこには先程モイスが破壊した扉に擬態した兵器が存在しているだけである。
「あの……その破壊した扉に何かあるんですか?」
シレットが確認するかの様に問いかけるとコンスタリオは擬態兵器を剥ぎ取る様に壁から引き剥がす。
するとその裏から扉が出現する。
その扉には先程モイスが兵器を破壊した時に打ち込んだ銃弾で開いている穴が存在しているだけであり、擬態している兵器ではない事が確認出来る。
「その扉は兵器ではないのですか?全く動いて居ない様ですが……」
先程の一件があるが故か、シレットが確認するとコンスタリオは
「ええ、間違いなく普通の扉よ。
だからこそこの先に通路がある!!」
そう言いながら扉を開けて先にある通路を確認する。
「通路があるという事はここから先に何かがあるって事か……」
「ええ、しかもこんな兵器で守らなければならない程の物が……ね」
モイスが掛けた心配そうな声に対し、コンスタリオはこう返答する。
その声は少々の不安を感じさせるが、その声の不安はモイスの声の不安とは明らかに性質を異にしている。
その声は明らかに自信も感じられる物であり、この先に何か重要な物が存在している事を感じさせる。
「さあ、行きましょう!!」
コンスタリオの自信が感じられる言葉がシレットとモイスも突き動かされるのか、不安を感じさせつつも同時に決意も感じる表情を浮かべる。
その表れとも取れる一歩ずつ足で先に進んでいく。
その通路はこれまでの通路とは明らかに異なっており、少し暗めの通路の中で明らかに異様な雰囲気を醸し出していた。
「この雰囲気……一体何なんでしょう?重く苦しい空気が満ち溢れているような気がします」
シレットがそう言うまでも無く、コンスタリオはそれを感じ取っていた。
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