第1360話 兵器射抜く矢
そして通路の入口付近、最初の広大な空間、つまり転移魔術で施設と繋がっていた場所へと戻ってくる。
だがそこで天之御は思わぬ光景を目にする事になる。
「!?あれは……つっ、そう簡単には戻らせてくれないって訳か」
そう呟く天之御の目に飛び込んできたのは今正に通路の奥から出現しようとしている兵器であった。
それだけではない、大型、小型を問わず多数の兵器が通路から次々と出現しており、天之御の帰り道を阻んでいる。
「つっ、これだけの兵器が出現してるって事はまだあの施設では兵器が生産されているって事なの?それとも最初からあれだけの兵器が配備されていた?
何方にしても此処を切り抜けないと施設の破壊は不可能だね!!」
天之御はそう叫ぶと気合を入れ直した様に呼吸を整え、手に妖力で作り出した弓を構える。
そして
「魔王弓術……漆黒の一矢!!」
と言うと兵器の集団に向けてその名の通り真っ黒な一本の妖術で作られた矢を放つ。
その矢は兵器の集団を貫くものの、当然その場にいる兵器が一直線に並んでいる訳が無く、それだけで殲滅出来た訳ではない。
だが天之御の表情は明らかに余裕が感じられる。
そんな天之御に対し既にその場に居る兵器は攻撃を仕掛けてくるが、天之御は難なくその攻撃を躱して
余裕を見せる天之御に対しいきなり攻撃を仕掛けてくる様子は兵器であるが故に本来ありえないのだろうが、何処か苛立っている様にも見えている。
「つっ、今の矢を放った意味も分からないっていうのはやっぱり機械の限界だね!!」
天之御はそう話すと上空に飛び上がり、手にしている矢に尚も真っ黒な矢を構えて兵器の集団目掛けて射抜いていく。
「最初に放った矢の狙いに気付けなかった時点で君達の敗北は決定的だよ、最も、機械にそんな事を考える事が出来るとは思えないけどね!!」
そう言いながら天之御が放つ漆黒の矢は確実に一体ずつ兵器を射抜いていく。
勿論それだけで兵器が全滅する訳も無く矢を受けなかった兵器は残る、だがその直後、兵器を貫き地面に突き刺さった矢が大爆発を起こし周囲の兵器を巻き込んで殲滅していく。
それを確認すると天之御は
「はい、そういう事だよ」
という。
その言葉を合図にしたかの様に突き刺さっていた矢が次々と大爆発を起こし、地面に密集していた兵器を巻き込んで行く。
その爆発が終わった時、兵器は全て残骸と化していた。
「さて、あっちは届いたかな?」
意味深な発言をしながら天之御は転移通路の中へと入っていく。
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