第1352話 第二の幕引き

闇に覆われた転移妖術の通路は通行機能を失い、出入りは完全に不可能となる。


「これで通路は塞いだよ!!豊雲達の所にはこいつらは一体たりとも行かせない!!」

「まあ、それが妥当な判断だな、こうやって兵器の目的を達成出来なくして送ってのはよ!!」


涙名の行動とそれに同意した八咫は塞がれた通路を見て何処か安堵の表情を浮かべ、それを険しい顔に戻しながら兵器の方に再度向ける。

そして目の前に立ち塞がる多数の兵器と交戦し始める。

通路が閉鎖された事で激昂したと言う訳ではないだろうが、兵器は一斉に機関銃を乱射して来る。

その弾丸の数は半端ではなく、動き回っても数発は掠めてしまう事は容易に想像出来た。


「つっ、破損しているとはいえ生産プラントの中だ……そこで此処まで激しい攻撃を仕掛けて来るって事は……」

「俺達の取った行動がそれだけこいつらの生産主の怒りを買う行動だったって訳だ、へっ、上等だよ!!

こいつらの生産主に対してお気に入りの兵器の残骸を見せつけてやる」


八咫はそう言い切ると先程と同じく地面に風を巻き起こして下の床ごと兵器を竜巻で持ち上げて中を舞わせる。

その床は先程と同じ様に兵器に次々と直撃し、その機能を次々と破損させて停止させていく。


「これで大半は片付いたが、流石にこの数だと全滅って訳にはいかねえな」


八咫がそうぼやいた通り、兵器の中には床の直撃を受けず、生き残っている兵器も数体確認出来る。

だがその兵器達に対しては涙名が中を舞っている間に接近し、その爪で貫いて破壊していく。


「生き残った奴は僕が貫いていくよ、だから安心して」

「貫くのに安心してっていうのも言い得て妙な気もするが、そうさせてもらうぜ」


涙名の口調に軽口が混じっている事を聞き、八咫も再び何処か安心感を持った口調になる。

そして涙名の活躍もあり、八咫が中に巻き上げた兵器は全て破壊される。


「よし、これで僕達の道を妨げる兵器は全て破壊したよ、早く皆の所に戻らないと」

「殿下達の方も何処か別の場所に行ってるかもしれねえからな」


そう言葉を交わすと二人は更にプラントを遡り、一同が手分けした場所へと戻っていく。

そしてそこに戻ると既に空狐、岬のペアが戻ってきている事が肉眼で確認出来た。


「空狐と岬は既に戻ってきているんだ」


涙名がそう言うと二人は更に足を早め、その先へと向かっていく。

二人が空狐と岬の元に戻ってきたと同時に他の一同もその場に姿を表す。


「豊雲の居る東大陸に繋がっていたのね」


涙名と八咫がの話を聞いた後、こう口火を切ったのは空狐であった。

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