第1351話 その先を目指して

「全て倒したって、その中には赤制御の兵器は混ざっていなかったの?」

「赤制御?それはもしや残骸から赤い発行体が確認出来た兵器の事でしょうか?」


涙名が赤制御の兵器が混ざっていなかったかどうかを確認するが直後の豊雲の返答により、豊雲にはまだ赤制御の説明が行き届いて居なかった事を思い出す。


「悪い、豊雲にはまだ話が伝わってなかったな、だが認識はその通りだ。

それを知っているって事は交戦したんだな?」


八咫が謝意と共に問いかけを豊雲に行うとそれに対して


「ええ、確かにあの兵器に対しては此方の妖術が通じず、一時は劣勢に追い込まれそうになりました。

ですが調査に協力してくれている人族の提案により切り抜ける事が出来たのです」


と返答する。

豊雲達が窮地を脱する事が出来た人族の提案、当然その一言を涙名と八咫が聞き逃す筈もなく


「人族の提案?それは具体的にはどの様な提案なの?」


と直様その提案の内容を聞き出そうとする。

すると豊雲は


「完全に事後報告になる話ですが、この東大陸で接収していたブント側の兵器をぶつけてみたのです」


とその内容を話す。

それを聞いた涙名は


「ブント側の兵器をぶつけた?と言う事は此処にはそれだけの兵器が存在していたと言う事なの?」


と更に問いかけを行うがその直後に八咫が


「涙名、色々と気になる事はあるし聞きたい気持ちも分かるが今は兵器の生産プラントを止め、地上への被害の発生を食い止めるのが先決じゃないのか?」


と諭す様に告げた事でふと落ち着きを取り戻し


「そうだね……なら豊雲、後で殿下と共にそのお話を詳しく聞かせてもらうよ」


と告げて踵を返そうとする。

すると豊雲は


「ええ、勿論そのつもりです。

どの道事後報告はしなければいけませんからね」


と返答し踵を返して来た道を戻る二人を見送る。

そして二人の姿が見えなくなると


「さて、此方もまだまだ防衛前線を崩す訳には行きませんね」


と告げてその場で武器を構えるのであった。

転移妖術の通路がある場所まで戻ってきた涙名と八咫はそのまま通路に飛び込み、施設へと戻る。

するとそこには大量の兵器が存在し、通路を取り囲む様に身構えていた。


「つっ、あの短期間で、しかもプラントを破壊してきたのにまだこんなに……」

「プラント内部の蓄えなのかもしれねえな、だがこいつらを豊雲の所に行かせる訳にはいかねえぜ!!」

「それなら心配ないよ。暗殺妖術……暗転閉鎖!!」


八咫と涙名が交戦体制を取ると同時に涙名はそう叫び、後ろの転移妖術の通路を闇で覆い隠す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る