第1350話 地下での思わぬ出会い
「とにかく、まずは周辺を調べてみよう。
ここが何処なのか分かれば地上への呼びかけも出来るかもしれない」
涙名が総提案すると八咫も頷き、二人は線路に沿って歩き始める。
周辺の壁は発掘現場であるが故に整えられているが、その手触りは紛れも無く岩や土であり、ここが地下である事、決して人工的に作られただけの洞窟ではない事を実感させられる。
そして暫く進むとそこには先程とは別の通路が見えてくる。
「おい、ここから更にどっかに繋がってるみてえだぜ」
八咫がそう言うと涙名もその側に駆け寄り、そこに通路が確かに存在している事を確認する。
「確かに通路が存在しているね、でもここから先は何処に繋がって……それにさっきから兵器と全く遭遇していないのも気になるね」
通路がある事から涙名は何処かに繋がっている事は革新するものの、同時にそれが何処なのかと言う疑問も浮かんでくる。
更にここまで兵器と遭遇していないという点も又二人に大きな疑問を抱かせる。
「そう言われりゃそうだな、それに此処に来るまでに兵器の残骸すら見かけてねえ、その点も気にならねえか?」
「そうだね、もし兵器が何かと交戦したのだとしても破壊された残骸位は残ってる筈だろうからね、もしそれらを全て回収していったっていうんなら別だけど、そんな事を態々する意味があるとも思えない。
だとしたら此処には兵器が存在していない?」
二人の話は少なくともこの状況においては飛躍した結論に達しようとしていた、だがその直後、その二人の疑問について思わぬところからその回答が舞い降りてくる。
二人がそう話した直後、目の前の通路から
「まだ兵器が来るのではないかと思っていましたが、まさか兵器ではなく涙名と八咫が居るとは」
この言葉と共に豊雲がその姿を表したのだ。
「豊雲!?って事はつまり、此処は東大陸の地下って事か?」
突然現れた豊雲の姿に対し八咫は動揺した声を上げる。
東大陸で戦っている筈の豊雲が目の前に現れればそれも又無理のない話ではある、だが豊雲は逆に二人が目の前に居る事について
「その言葉が出てくるという事はつまり、施設から兵器を送り込んでくる手法と同様の物を使って此処まで来たという解釈で間違い無さそうですね」
と明らかに冷静な口調で返す。
「豊雲、此処には兵器が居ないみたいだけど、それはやはり君達が迎撃に成功したからなの?それとも……」
涙名が兵器の不在を豊雲に問いかけると豊雲は
「それは分かりませんが、少なくとも此処に来るまでに遭遇した兵器は全て私達が倒しました」
と涙名に返答する。
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