第1349話 八咫の狙いは
「え……八咫?」
八咫の其の様子に困惑した声を上げる涙名、一方当の八咫はそんな涙名を尻目に
「黒羽の暴風……忌むべき地を巻き上げろ!!」
と大声で叫び、兵器の居る地面を黒い風を発生させて巻き上げてその地面毎兵器を中に巻き上げる。
だが当然赤制御の兵器にその風は無効化されてしまう。
「つっ、やはりあの兵器に妖術は……」
「まあ見てなって、俺が何の根拠も無しに今の妖術を使ったと思うのか?」
兵器に対し苦虫を噛み潰した様な表情を見せる涙名、だがそれとは対象的に八咫の表情はどこか涼しげで余裕すら感じられるものであった。
其の様子に対し何処か不可解な印象を受ける涙名だが其の直後、八咫が巻き上げた竜巻が止み、巻き上げられた生産プラントの床が兵器に降り注いでいく。
そしてそれが終わった時、兵器は降り注いだ地面に埋もれ、どれが兵器でどれが地面か分からなくなっていた。
「そうか……地面は赤制御ではないから其の破片やタイルによる衝撃は兵器にも有効だ、そんな簡単な事にも気付け無いなんて」
「そんな思い詰めなさんなって、そういう風に考えちまうのはおめえや殿下の悪い癖だぜ」
屋他の狙いに漸く気付いた事にも何処か深刻な表情を浮かべる涙名、そんな涙名に対し八咫は軽い口調で深刻になる必要はないと告げる。
「そうか……まあ、そうだよね、それで僕達が追い詰められた訳じゃないんだから」
八咫の言葉に励まされたのか、何処か安堵感を感じさせる表情を浮かべる涙名、だがその表情は直ぐに先程までに比べれば深刻ではないものの、真剣な表情へと戻る。
「さあ、兵器を一層した所で次の行き先が待ってるぜ」
「うん、分かってる。
急いであの中に向かおう!!」
八咫と涙名はそう告げると駆け足で目の前に開いている転移妖術の空間へと飛び込んでいく。
そして其の中に広がっている空間を走り抜け、その先に出るとそこは炭鉱の様な印象を受ける場所であった。
目の前には線路らしき物が敷かれており、其の通路の左右には幾つもの分岐点が見受けられる。
「ここは炭鉱?いや、そうでなかったとしても発掘現場なのは間違い無さそうだね」
「あの施設が先史遺産の遺跡のルーツってんなら其の行く先に先史遺産の遺跡があり、そこを発掘していたって言うのも全く考えられねえ話じゃねえな。
となるとここも先史遺産の遺跡の近くなんじゃねえか?」
涙名の疑問に対する八咫のぶっきらぼうな回答は口調はともかく、其の内容は的を得ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます