第1348話 涙名の油断
するとその言葉通り、二人の目の前に多数の兵器が出現する。
「兵器の出現か……でも此処はまだプラント内、そこで出てくるって事は、場合によっては形振り構わないというプログラムが組み込まれているのかもね」
「だったら尚更此処で立ち止まってる訳には行かねえぜ、こんな奴等が外に出ちまったらそれこそ大惨事になりかねねえんだからよ!!」
二人がそう言うと同時に兵器もその感情を読み取ったかのように攻撃を仕掛けてくる。
「つっ、そっちも早速その気って訳か!!」
「なら遠慮は要らねえな!!」
二人がそう言って応戦体制を取ると八咫は羽を飛ばして兵器を串刺しにし、それが通用しなかった兵器に対しては涙名が格闘攻撃で仕留めていく。
その連携は見事な物であり、瞬く間に兵器を殲滅する。
「兵器自体はこれまでの奴等と同じだな」
「うん、だけど今は僕達も人数が少ない、決して油断しない方が良いと思う」
「元よりそのつもりだぜ」
兵器を殲滅した後、涙名と八咫はお互い油断しない事を再確認し、更に奥へと進んでいく。
「急いだ方が良いかもね、迎撃に回せる兵器が存在していたって事はつまり……」
「終着点が近いかもしれねえって事だろ、俺だって星峰や殿下程頭は回らねえがその位は分かってるぜ」
「軽口が言える位なら問題なさそうだね」
奥へと進む途中、涙名は警戒心を強めた発言をするが八咫がそれに対し軽口で返答した事で涙名の口調も少し和らいだ物と成る。
それから程無くして涙名と八咫は自分達の言う終着点、転移通路のある場所へと辿り着く。
「此処に来るまでにもプラントは破壊してきたから兵器はもう生産されていない、だけど……」
「ああ、既にかなりの数の兵器が蠢いてやがるな……此処を防衛する為に残ってるって言うんならまだいいが、もしこの先に既にかなりの数が侵攻してるんだとしたら……」
その兵器の数を見て二人は先程まで緩んでいた口調を再び厳しいものにし、警戒心を強める。
するとそれを感じ取ったのか兵器はすかさず二人に飛びかかってくる。
「つっ、早々に仕掛けて来るって訳か!!」
「黙ってやられるわけねえだろ!!」
そう言うと二人は散開し、八咫は左側から、涙名は右側から飛びかかってきた兵器に対し応戦体制を取る。
だが涙名の方は全ての兵器に対して応戦出来るのに対し、八咫の方は当然赤制御の兵器も混ざっている為討ち漏らしが生じてしまう。
「しまった、この点を失念していた!!」
迂闊な応戦をしたと自身の油断を悔いる涙名だが八咫はそれに対し特に焦った顔を見せる事はない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます