第1343話 信頼と不安の間で
「しかし、それでは殿下と星峰が一人に……」
「確かに不測の事態は考えられるけど、私達が兵器に遅れを取ると思うの?」
天之御と星峰が単独行動になる事に心配そうな声を上げる空狐、だがそんな空狐に対し星峰は自信に満ちた返答を行い、其の不安、心配は杞憂であると暗に伝える。
其の返答を聞いた空狐は
「そうね、私とした事が殿下や星峰の力を知っているのに……予想外の事態で内心に不安や焦りを抱えてしまったのかな」
と少し反省が感じられる声色で星峰と天之御に話しかける。
それを聞いた天之御は
「まあ、心配してくれる事は嬉しくは有るよ、だけど此処で僕達が動く事をためらっていたら僕達が今此処で感じている以上の不安や問題が地上を覆い尽くすかも知れないんだ、だから此処で僕達が躊躇っている余裕はない」
と良い、一同に時間敵余裕が無い事を告げる。
其の言葉を聞いた一同は黙って天之御に賛同の意を示す頷きを行い、それを確認するとそれぞれの戦場へと向かっていく。
「ここから先にどれだけ居るのか分からない以上、ここで梃子摺る訳には行かないわ!!」
岬はそう告げると素早く前に出て目の前に居る兵器を格闘術で粉砕していく。
しかし、当然の事ながら中には赤制御の兵器も存在しており、其の兵器には格闘術を止められてしまう。
しかしその際に生じた一瞬の鋤をついて空狐が攻撃を加える為、結果として兵器の反撃は許していない。
「先陣は私が切らせて貰うわ、空狐は兵器よりも生産プラントの破壊を優先して」
「赤制御の兵器が出てこない限りはそうさせてもらうわね、流石に兵器を野放しにした状態ではプラントの破壊にも集中出来ないもの」
岬の激励を受けた空狐は有言実行すると言わんばかりにプラントに対して妖術を放ち、道中の機器を破壊しつつ岬の後に付いて行く。
「この調子で一気に奥まで行きたい……と思ったけど、流石にそうは問屋が卸さない様ね」
岬がそう告げると前方から何体もの兵器が姿を表す。
其の数は決して多くはないものの、今現在の状況では決して油断出来ないと二人は認識していた。
「此方に迎撃部隊を差し向けてくるとは……少しは機転を利かせられる様になってるって事なのかしら?」
「子供の成長を見守る親や開発者であれば嬉しい話なのかも知れないけど、其の何方でも無い私達には迷惑千万な話ね」
二人はそう声を合わせると身構え、兵器の集団に対し交戦体制を整える。
そして襲いかかってきた兵器を瞬く間に返り討ちにする。
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