第1322話 暗中の先に
一同が兵器が来襲してきた方向に駆け出し、そのまま先の通路に辿り着くがそこは行き止まりの突き当りであり、特に何かが置かれている様には見えない。
「兵器が来た先が行き止まり……だけどこんな所にあれだけの兵器が置かれているとは思えない、つまり……」
だが涙名のこの言葉が示す様に、この光景は一同の中に生じた疑念を更に強める。
「ええ、この近辺に何かが隠されているのかもしれないわね、調べましょう!!」
星峰がそう話すと同時に一同は散開し壁や床、天井を調べ始める。
すると案の定というべきか、空狐が
「ありましたよ、ここに!!」
という声と共に壁の一部が開閉する事を発見する。
「隠し通路……中は真っ暗だね。
明かりらしき物も見られない、兵器なら予めプログラムしておけば簡単に抜けられそうだけど」
涙名がやや皮肉交じりのような口調で告げた通り、その隠し通路の中は一切の光が灯されておらず、まるで冥府にでも繋がっているかの様な雰囲気を醸し出していた。
「何れにしてもここで立ち止まっている訳にはいかない、先に進もう。
最も、流石に通路で暗中模索って訳にはいかないから……魔王妖術、魔族の公明」
天之御はそう告げると手元に光の玉を出現させるとそれを通路に投げ、その輝きを増して通路の闇を照らす。
「魔王が光を語るっていうのも少し妙な感じがしなくもないけど、コレで先に進めるよ」
天之御が少し自嘲しているようにも聞こえる様な発言をすると一瞬だが一同の顔に笑みが浮かぶがその顔は直ぐに真剣に戻り一同は先へと進んでいく。
しかし、その一瞬の笑みを見逃さなかった星峰は
「この戦いが終われば、人族も魔神族も問わず今の様に笑い合える、そんな日々が来る事を願うのは許されるわよね」
と内心で先程の笑みの様な光景が一瞬ではなく世界単位で続く世界にしていきたいという思いを改めて抱くのであった。
だがその直後、そんな思いに水を差すかのように目の前に兵器が出現する。
「中型兵器複数か……通路の狭さからすると妥当な数ではあるが、これだけとも思えねえな」
八咫はそう言うと黒羽根を飛ばして攻撃するが、兵器はその一部を変形させ、飛翔して八咫の黒羽根を回避する。
「飛翔した!?そんな機能を持つ兵器までここでは生産されているって言うのか……」
「只単に飛翔するだけならまだいいけど、万が一コレが爆撃等の機構を備えていたらとんでもない事になるわね。
皆、動きに惑わされないで!!」
八咫が困惑した口調を上げる一方、星峰はある意味では平常運転とも言える分析を行う。
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