第1313話 四面楚歌の居住区
「確かにそうね、あれだけの数が一度に侵攻してきたのであれば通路から食み出して周囲の建築物に損傷を与えていても可笑しくはない、いえ、寧ろそうしていない事の方が可笑しいとすら言えるわ」
「それを敢えてしているという事はやはり、あの兵器達はこの居住区を防衛する目的でプログラムを組まれたという事なの?」
「いや、だとしたらさっきの遺跡エリアにまで進行しようとするのは可笑しい、防衛用の兵器がそのまま追撃を仕掛けるとは考えにくい」
「そうだな、殿下の言う通りもしあの兵器が防衛用なら防衛に徹する筈だ、態々攻撃に出て不要に相手の神経を逆なでするような事をやるとは思えねえ」
涙名の提示した疑問に星峰、空狐、天之御、八咫がそれぞれ言葉を繋げて発言すると涙名は
「其の答えを教えてくれるかも知れない集団が来たみたいだよ、最も、すんなりと教えてくれる訳じゃないけど」
と呟き、進路上に新たな兵器の集団が現れた事を告げる。
涙名の言う通り、一同の視線の先には先程の兵器と同型だと思われる小型兵器が多数接近していた。
「しかも今度は少し厄介な連中も引き連れているわね……小型兵器だけではなく中型兵器も居るわ」
星峰がそういった通り、小型兵器の背後にはそれよりも高性能と思われる中型の、且つこれまでに確認した事の無い兵器も目視出来た。
「けど、もしこの兵器も学習しているのだとすれば……虚無の……」
天之御はそういうと又しても虚無の終焉を使おうとする。
だがやはりと言うべきか、小型兵器はその天之御に対してミサイルを発射しようとし、更に中型兵器も手にしている機関銃を向けようとしてくる。
「やはり中型兵器も学習している様ですね、ならば今度は私が……」
空狐はそう言うと攻撃態勢に入ろうとするがその時周囲をあの忌わしき靄が包み始める。
「この靄は亡霊が出現する時の……くっ、よりによって……」
「いや、ここは居住区だ、亡霊が出現する土壌も遺跡より整っていたのかも知れない。
そうだとすれば其の事を配慮しなかった僕達が迂闊だった」
妖術に反応して出現したであろう靄を目の前にし、天之御と空狐は僅かでは有るが焦燥感を顔に浮かべる。
だがその靄が出現したと同時に集団の兵器が赤い発行体を点滅させ始める。
「何!?兵器が赤く発行し始めた……」
其の事に気付いた岬がそう声を上げると同時に兵器は其の発行体の真上に有る部分を開放し、そこから何かを吸い込む様な形状の部品が出現する。
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