第1278話 失われる希望

「魔力を吸収って……どういう事だよ!?」

「確かにそう考えれば説明は付きますが……」


コンスタリオが呟いた一言に動揺を隠せない様子のシレットとモイス、そんな二人に対しコンスタリオは


「私が今蹴り込んだ攻撃は魔力で体術を強化したもの、だけどあの兵器に足が接触した瞬間に私の魔力が全てあの兵器に吸収されてしまったの」


と説明口調で告げるものの、その声はシレットやモイスと同様、或いはそれ以上に困惑した物であった。

体術を受け止められ、更に魔力を吸収されるという此れまでに受けた事のない反撃を受けてしまったのであればそれも致し方ない部分はあるものの、それでもコンスタリオの動揺はシレット、モイスからすると普段からは考えられないレベルであった。


「もしあの兵器が此方の魔力を吸収してくるのであれば……つっ、何か確かめる術は無いの!?」

「確かめられるかどうかは分からねえが、俺がやってみるぜ!!」

「分かったわ、もしもの時は私も援護する」


シレットが動じた声を上げるとモイスが自ら攻撃役を買って出る。

そんなモイスに対しシレットも何処か頼りになる物を感じたのか自らも支援する事を宣言する。


「頼んだぜ、シレット」


モイスはそう言うと兵器に対して銃を構え、先程のプラントで使用した物と同じ徹甲弾を放って兵器にダメージを与えていく。

その徹甲弾を受けた兵器は明らかにたじろいでおり、ダメージも受けては居るものの、やはり自己修復機能が搭載されているらしく直ぐに回復してしまう。


「徹甲弾であればダメージは与えられるが自己修復機能を止めるまでには至らねえ、だが少なくとも攻撃そのものを無効化している訳ではねえってことは分かった。

確かめる目的だが、次は此奴だ!!」


モイスはそう告げると自身に備わっている乏しい魔力を銃弾に流し込み、その弾丸を兵器に向けて放つ。

するとその弾丸が被弾した瞬間にその魔力は兵器の表面で霧散しその内部へと流れ込んでいく。

それを見たモイスは


「隊長の言う通り、あの兵器は此方の魔力を吸収しているようだな、となると厄介だぜ……」


と口から発し、それを聞いたコンスタリオも


「ええ、現状私達の武装だけであの兵器を破壊するのは極めて困難だわ、かと言ってここに都合良くスター達が来てくれるとも思えない、何とか物理攻撃であの兵器を破壊する方法を……」


と自分達が現状劣勢である事を自覚せざるを得ないと思われたがその時コンスタリオの言葉が少し止まる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る