第1238話 赤い光が指し示す先は

「其の代わり今度は赤い光が其処に現れているよ、一体此れが何を意味しているのか、其の点は分からないけどね……」


涙名がそういいながら件の部品を指差すと一同は何かを考え始める。


「もし、青い光が妖術に対抗する術として組み込まれているのだとすれば、それと対になる様に組み込まれている赤い光は……」


星峰が内心で思案しはじめたその時、天之御が


「星峰、君の足元……」


と何かを見つけたのか少し動揺した様な口調で話しかける。

天之御の指摘通り、星峰の足元からは確かに赤い光を放つ何かが出現していた。

それは生命や兵器で無い事は明らかであったが、何なのかは天之御達には分からない。

だが星峰と涙名は分かっているのか特に動じた様子を見せる気配はない。


「此れが出てきたって事はつまり、彼等が辿り着いてくれたって事だね」

「ええ、其の通りよ。

天之御、悪いけど此処で少し時間を使わせて貰うわね、そして可能であれば少しの間兵器が接近してこないように警護を頼める?」


涙名と星峰がそう告げている所からもその赤い物が此方にとって不利益なものではないという事は明らかであった。

そしてその正体を察したのか天之御も


「ああ、そういう事か。

分かったよ、皆、少し此処で休憩しよう。

と言っても兵器が接近してこない様に妖術を使っておく必要はあるかも知れないけど」


と一同をに対し此処で休息を取る事を提案する。


「やれやれ……遠足に来ているのではないんだけどね」

「自分から警護を頼んでおいてそれを言う?」


星峰が天之御に対し少し呆れた、しかし笑顔を浮かべて言うと天之御も負けじと反論する、だが其の顔は明らかに笑顔が浮かんでおり、双方の信頼関係に基づいた発言である事は明らかであった。


「あのさ、其の光は放置していていいの?」

「あら、少し話が脱線しすぎた様ね、そろそろ応対しないと」


空狐が少し訝しげな表情で光を放置していていいのかどうか質問すると星峰は足元へと目をやり、其の赤い光に手をかざす。

すると赤い光は円を書く様に集まっていた一同の中心に移動していき、其処になにかの紋章が浮かぶ。

その直後、紋章の中から現在別の場所に居る筈のコンスタリオ小隊が映し出される。


「こ、コンスタリオ小隊の皆さん……という事はつまり、この紋章は……」

「そうよ、これが私の使った通信妖術」

「やはり、貴方が、スターが仕掛けた妖術だったのね」


岬の動揺した声に対し星峰が回答する一方で紋章の中心から浮かび上がってきたコンスタリオは星峰に問いかけを行う。

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