第1237話 些末な違いと大きな違い
「強いって、具体的には?」
天之御が岬にそう尋ねると岬は
「あの兵器の耐久性は明らかにこれまで交戦してきた擬態兵器よりも上です、従来の物と比べて耐久性が向上しているということは擬態した状態のまま破壊されるリスクを軽減していると言えるでしょう」
と返答し、先程蹴りを入れた際に感じた違和感を伝える。
「素の状態では破壊し辛い擬態兵器、それなら誤爆による破損も抑えられるってところかしらね、そうなってくると厄介だわ」
空狐がこう告げた直後、一同の目の前にまたしても小型兵器が多数出現する。
「又兵器ね……遺跡に入り口にいたタイプとは違うけど、施設内部で彷徨いていた兵器と似ているわ」
其の兵器を目視した星峰がそう告げると八咫は
「似ている?同じではないのか?」
と問いかける。
其の兵器の見た目は確かに施設内部で交戦していた物と同じ様に見えていた、だが星峰は
「確かに見た目は酷似しているけど細部が微妙に異なっているわ、細かな部品の場所や配色がね、単なる趣味や拡張の領域の話と捉える事も出来なくはないけど」
と解説する。
その解説について嬉しく思ったという訳では無いだろうが、兵器の数は更に増えていく。
「つっ、兵器の増援がこの後にも控えているのだとしたら此処で時間を掛ける訳には!!魔王妖術……純黒の螺旋」
天之御はそう叫ぶと前方に黒い渦を放ち、其の渦に兵器を巻き込んで兵器を切り刻み、一気に殲滅する。
だが其の流れを見た星峰は
「今のは……妙ね……」
と呟く。
そして攻撃が終わると兵器は施設の入り口で天之御が妖術を使った時と同じくバラバラにその身を刻まれていた。
「やはり今回も直ぐにはいかなかったのですか?」
空狐が天之御に問いかけると天之御は
「否、今回は直ぐに兵器を吹き飛ばせたよ、だけどそれが逆に嫌な感じだ」
と発言し其の言葉に星峰も
「私も同意見ね、あの兵器の外見と比較してみると、それにさっきまでの兵器とは決定的に違う物がある」
と言葉を続ける。
「決定的に違うもの?」
岬が星峰に尋ねると星峰は
「岬、あなたが残骸を見れば直ぐに分かる筈よ」
と言って岬に残骸を確認するように促す。
促されるままに岬が残骸に目をやると其の瞬間に
「成程、確かに違っているわね……件の部品の色が」
と口にする。
岬が言った通り、今破壊した兵器の中にはこれまで確認出来た青色の部品が確認できなかった、其の代わりなのか、同じ様な形状をした赤い色の発光をする部品が確認出来る。
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