第1234話 魔窟への突入

「彼等がデータルームに到着してくれればそれでいいけど、それまでじっとしている訳にも行かない……か、確かに其の通りではあるね」

「天之御殿下、では……」

「ああ、先程の分岐地点まで戻り、地下の遺跡へと向かうよ。

もし此処の地下遺跡に何かあるのだとすれば、それが何であるにせよ放置する訳には行かないからね」


星峰の表情からその自信を信じたのか、天之御はデータルームを後にしてこのまま地下に向かう事を告げる。其の言葉に全員首を縦に振り、そのままデータルームを後にして先程の分岐地点に戻り、今度は地下への階段を降りていく。


「まだ兵器は階段を登っては来ていないか……それが却って不気味だな」

「或いはこの下で待ち構えているのか……そうだとしたら厄介だね」

「ええ、しかも其の悪い予感は的中してしまったみたいよ」


八咫、空狐、星峰がそう告げた直後に階段の下を見ると其処には夥しい数の兵器が集まり、一同が階段から降りてくるのを待ち構えていた。


「つっ!!こんなところで余分な時間を取られる訳には行かない、此処は私が……」

「いえ、私達……でしょう」


空狐が焦燥感を抱いて先走ろうとするのを星峰は止める……のかと思いきやそのまま彼女の先走りを諌めつつもそれ自体を止める様な事はしなかった。

そのまま兵器に向かって共に突撃していき


「狐妖術……紅白の旋風!!」


と同時に宣言して星峰は赤色の、空狐は白色の竜巻を放ってそれを一つにし、前方に密集している兵器目掛けて放つ。

二色の竜巻は一つとなり、前方の兵器を巻き込んで吹き上げる、だがその後妙な事に岬が気付く。


「二人の竜巻で巻き上げられた兵器、天井に当たって砕ける音が聞こえませんね。

兵器が居るあの部屋には天井が無いのでしょうか?

いや、そんなはずはありませんから考えられるのは……」


そう口にした岬の発言は一見するとすっとぼけた発言をしている様にも見える、だが天井が無いという指摘は少なくとも部分的には天之御達の内心にも疑問を生じさせた。


「天井が無いというのであればあそこはもう遺跡のエリア内という風に考えた方が自然でしょうね、そう考えれば兵器がぶつかった音が聞こえてこないのも納得がいきます」


一同がそう口にしながら地下に降りていくと其処は岬の疑問の通り、既に遺跡の中に突入していた。

その周辺には先程の星峰と空狐の妖術で中を舞ったであろう兵器の残骸が多数転がっており、先程の竜巻で巻き上げられた兵器がそのまま無造作に転がった事が推測出来る。

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