第1233話 星峰の奇策

「手段はあるって、それは一体どんな手段なの?」


唐突な星峰の発言に天之御を初め、其の場に居た面々は驚きを隠せない様子だ。

その表情や声がそれを物語っていた、只一人涙名を除いては。


「成程、あれを久し振りに使うって事だね、だけど今の君で使えるの?あの術は君が人族だった頃に使っていた魔術だった筈だけど」

「ええ、私自身試した事は今まで無かったわ、実際妖術と魔術が別物だと思っていたから。

だけどそうじゃない、魔術と妖術のその元々が同じ物であると考えた時、もしかしたら使えると思って試してみたの、其の結果使用出来る事を確認したわ。

そしてもう一つ、魔術時よりも遥かに使い勝手が良かったの、更に応用も利かせられるようになっていたわ」


涙名は元々星峰の事をよく知っているが故なのか、星峰が何を言いたいのかを理解している様子だ、だがその光景を見て岬が


「一寸、自分達だけで盛り上がらないでよ!!一体どういう事なのか、何をするつもりなのか説明してよ!!」


と少し幼稚な印象を抱く説明を求める。

それを聞いた星峰が


「ああ、つい懐かしんで忘れていたわ、これは申し訳ないわね。

私がコンスタリオ小隊に所属していた時に使っていた連絡魔術を使うのよ、最も今は連絡妖術というべきなのかも知れないけどね」


と説明すると天之御は


「それは分かったけどそれでどうやって其の魔術、いや妖術を彼等のいる場所に届けるつもりなの?今彼等が何処に居るのか分からなければ伝えようがないのではないの?」


と更に星峰に問いかける。

それに対しても星峰は


「ええ、確かに今コンスタリオ小隊がいる場所を正確に知る事は出来ないわ、だけどコンスタリオ小隊であれば必ずここに表記されているデータルームの何処かには辿り着いてくれる筈、それを見越しておけば」


と言って手元の機器を操作し、別のデータルームらしき場所へのアクセスを試みる。


「他のデータルームにアクセスしているの?だけどそれをしてもデータを調べる事は……」


空狐がこう疑問を口にすると星峰は


「いいえ、流石に其処までは考えていないわ、只、データルームにコンスタリオ小隊が到着した後、私の妖術を発動させる為にデータルームに少し細工をしておくだけ」


と返答する。

そしてそれから間もなく


「さあ、準備出来たわよ。

後はコンスタリオ小隊がデータルームに来てくれればいいだけ。

まあ、その間おとなしく待っているという訳には行かないけどね」


という星峰の自信有りげな声が響く。

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