第1227話 二つの境界線

「つっ、やはり妖術は通用しないの……」


岬が困惑した声を上げると其の鋤を付くかの様に兵器が岬目掛けて装備された鎌のような武器を振り下ろしてくる。


「岬!!くっ……」


そう叫んだ星峰は飛び出していき、岬に鎌を振り下ろそうとする兵器の前に立ち塞がり剣で其の鎌を抑える。


「星峰!!このままじゃ貴方も……」


岬がそう叫んだ時、星峰と兵器は鍔迫り合いを繰り広げていた。


「くっ、武器の力だけじゃこの兵器の攻撃を抑えきれない……岬、一旦距離をとって体制を立て直して!!私もそれに続く」


星峰の指示に対し岬は頷いて其の場から離れ、続けて星峰も離れようとするがその時兵器が武器に妖術の力に酷似した靄を纏わせてくる。


「あれは……妖術の力!?あれを武器に纏わせたという事は武器を強化するつもりね!!星峰!!」


空狐がそう叫ぶと駆け寄ろうとするがその前に兵器が星峰を押し込もうとする。


「くっ、仕方無い……ここは一旦妖術を中和して……」


星峰はそう言うと剣に妖術を込めて中和しようとするがその時星峰の剣に装着された紫の宝石が輝き、兵器の妖術を吸収しつつ装着された武器を跳ね飛ばす。


「星峰!?其の力は……」


駆け寄った空狐が星峰の見せた力に困惑するが星峰も


「分からない……だけどあの兵器の妖術が伝わってきた時其の妖術をこの剣が吸収してしかも其の力を変換した様な、そんな感じがしたの」


と困惑した声を上げるだけであった。


「力が兵器を変換した?一体どういう事なの……ってそれを聞いても分からないからこそそう返答してるのよね、それに今はそんな事を話している時間も無い!!」


そう叫ぶ空狐の言う通り、既に次々と兵器が接近しつつあった。

星峰は


「つっ、一旦怯ませるだけでも……新緑の旋風!!」


星峰はそう叫ぶと目の前に緑色の風を発生させ、兵器に対して放つ。

だが先程の八咫や岬の場合とは異なり、星峰の放った緑の風は兵器をそのまま吹き飛ばし、兵器達を壁に叩きつけて破壊する。


「星峰の妖術は普通に効いてるみてえだな……一体どうなってやがるんだ?」


八咫がそう疑問を口に出すと同時に尚も兵器が迫りつつある。


「つっ、星峰に連続で妖術を使ってもらう訳には……ならば今度は私がやる!!

狐妖術・蒼色の竜巻!!」


先程の星峰に続いて空狐も青色の風を発生させて兵器目掛けて放つ。

すると空狐の放った竜巻も兵器をそのまま吹き飛ばし壁に叩きつけて破壊する。


「空狐の妖術も普通に効いているわね、二人の妖術は通用するの?」


その光景を見た岬も当然の疑問を口にする。

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