第1226話 蠢く不気味さ

「そんな事、通路に決まっているじゃない。

通路の先の方がデータルームやマップと行った重要なデータが入手できる可能性が高いのだから」


一同を代表する形なのか、星峰がこう天之御に告げると天之御は


「やはり君ならそう答えると思ったよ、只、場合によっては二手に分かれる事も検討しなければならないから一応ね」


と返答自体は分かりきっていたものの、念の為に聞いたという主旨の解答を述べる。

それは事実なのだろう、実際場合によっては二手に別れての調査も考えなければならないのだから。


「既にこれだけの兵器が展開されている以上、あまり長く一箇所に留まるのは得策とは言えません、ここは先を急いで調査を続行するべきだと思います」


空狐がそう急かすと天之御は


「其の通りではあるね、だけどかと言って兵器が待ち構えている所に不用意に飛び込むなんて事は内容にする必要もある、其の辺の兼ね合いが難しい所ではあるけどここはそれを考えている時間すらもないからね」


と一同に告げ、前方の通路に対して全員で突入していく為の先陣を切る。

その先陣に続けと言わんばかりに一同は通路に入っていく。

そしてその奥の方に辿り着くと其処には扉とそれを守っていると思われる数機の兵器が確認出来た。


「兵器は数体……外れなのか、それともそう思わせる、或いは数を揃えられない何らかの理由があるのか……」

「其の何方も考えられるわね、だけどもし校舎だとするならたかが数体と侮る事は出来ないわ、何しろとんでもない性能を持っている可能性も考えられない話ではないから」


涙名と空狐が兵器を見てそう告げると八咫は


「もしさっきの兵器と同じ吸収能力を持っていたりしたら厄介だな……だが可能性としては大いに考えられるぜ。

何しろあの数の少なさだ、逆に不気味さを感じさせる」


と告げ、先程の兵器と同じ様な性能を持っているのではないかという警戒心を抱く。

最も、八咫が口に出すまでもなく其の場に居た全員が其の警戒心は抱いていた、だが警戒ばかりしていても事態が好転する訳ではない、それを知っているからこそ岬は


「ええ、ならここは私が先行します!!」


と言って兵器に接近していき、得意の格闘術で兵器の接合部分を攻撃する。

だがやはり妖術の強化無しでは兵器は硬いのか反動が返ってくるという事こそ発生していないものの、兵器に効果的なダメージを与える事は出来ない。


「くっ、やはりただ打撃を加えただけでは……」


岬はそう言うと妖術で強化した格闘術を叩き込むが、やはり兵器に攻撃を加えた瞬間に其の妖術を吸収されてしまう。

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