第1228話 境界の先に待つもの

「今の一連の流れを見る限り、岬の言う通り星峰と空狐の妖術は吸収されていないようだね、そしてその要因として考えられるのは……」

「僕の攻撃も通用するかどうかで判断できるんじゃない?」


岬の疑問に天之御が言葉を続けると其処に涙名がこう提案し兵器の方へと向かっていく。

そう、既に次の兵器が接近していたのだ。

其の接近しつつある兵器と距離を詰めつつ、涙名は


「闇妖術……裁きの爪!!」


と叫んで爪に妖術を纏わせ、そのまま前方から迫ってきている兵器に向けて突き出すと同時に伸ばし、其の爪で前方から迫ってきていた兵器を貫く。

すると星峰、空狐と同様に涙名の攻撃も纏わせた妖術が吸収される事は無く、そのまま平気にダメージを与えて破壊する。


「どうやら涙名の攻撃も星峰や空狐と同様、あの兵器達に吸収されてはいないようだね、となると、其の違いは、吸収されるか否かを決定している要素は……」

「やはり、そういう事なのでしょうか?まあ、今の時点では単なる仮説にしかなりませんが」


其の一連の流れを見た天之御と岬はこう話を纏め、それに続く形で八咫も


「とにかく、現状ではあの兵器を退けられるか否かは三人を中心に行動していくほかはねえな……となると今の内に進めるだけ進んでおいた方が良さそうだ」


と現状から早く前に進むべきだという提案を行う。

其の提案が採用されたのか、天之御は


「そうだね、ここは早く先に向かったほうが良さそうだね」


と告げた後、自身を筆頭に兵器が出現した通路を先へと進んでいく。

すると其の突き当りで異様に大きな扉を見つける。


「この扉の大きさ、明らかにこれまでの扉とは違いますね……この先になにか重要な物があると言わんばかりですよ」

「なら其のセオリー通りこの扉の奥に進んでいきましょう、但し、実は大きな扉が擬態兵器だったなんて言う笑えないパターンも考えられなくはないから警戒を怠らないようにして」


空狐が其の扉の大きさ、異常さに疑問を呈すると天之御は扉への警戒心を持ちつつ先に進む様に促すが、同時に罠である可能性も検討している事を伺わせる。

最も、今の一同には仮にそれが罠であると分かったとしても他の選択肢は存在していないのだが。

そして扉に近付き、其のドアノブに手を駆けると其処は大型のモニターと多数の機器が置かれた広々とした部屋に出てくる。


「ここは……どう考えてもデータルームだよな、という事はつまり……」

「ええ、さっきの兵器は此処を守ろうしているんでしょうね」


内部に突入すると早速岬と八咫が其の感想を述べ始める。

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